第25話 燃え盛るゴリラ。

 着替えを終えた猫スプレイヤーが入ってきた。赤い着物を着ていた。なんか、妖怪みたいだ。その後ろにも、白い着物を着たMISAみさがいる。

 「ど、どうした?」

 『はい。マスターはセクシーが好きですので、胸に泥玉を詰めてみました。』

 MISAみさが浴衣をはだけさせて、泥玉を見せてくる。


 「違うだろ!そこじゃない。なんで、男の独り暮らしのオレん家に女物の着物なんてあるんだ?」

 『それは屋根裏の部屋にあったものだからです。それより、褒めてください。』

 「あ、ああ。き、綺麗だね似合うよ。」

 なっ分けあるか!着物着た藁人形と化け猫にしか見えねぇよ!それに屋根裏にあった着物なんていわくありげで処分したい!が綺麗とか言ったあとに処分しろとは言いづらいだろ!


 ダリアがMISAみさの胸をこねこねしている。


 ―― 泥遊びが発動した ――


 『あっ、ありがとうございます!ダリア!』

 MISAみさの胸が超美乳になってるじゃねーか!って、切り替えろ俺!このまま突き進んだらダメだ!


 「も、モンスターの様子を確認するから、モニターに出してくれ。」

 『了解しました。』

 「にゃ!にゃんは食べ物を食べたいにゃ!」

 「そこにあるから、勝手に食ってろ。」

 「…ほとんどキュウリしか残ってないにゃ。」ポリポリ


 モニターに映し出されたのは、寝室の部屋中にうっそうと生い茂る草と俺のベットに座る木製のゴリラ。

 「ちょっと放火してくるから、料理追加しておいてやれ。」

 『了解しました。』


 「にゃっふー!!!感謝にゃん!」


 俺はガソリンのポリタンクを持って寝室に行き、手慣れた動作でポリタンクにタオルを突っ込み火をつけて、寝室に投げ込み扉を閉める。


 ボウゥゥゥン!!!


 しばらく様子を見てから貴賓室に戻ろうとした時、ドゴン!と寝室の扉をぶち破って燃え盛る木製のゴリラが廊下に飛び出してきた。俺を見るとドラミングを始めて怒りをあらわにしている。


 「野菜も食べろよ!たましいのルールだ!≪エアースラッシュ≫」


 燃え盛る木製のゴリラの左腕を風の刃で切り飛ばすが、俺に向かってタックルをかましてくる。

 相殺してやる!


 「俺は主だ!このたましいの!≪ファイヤータックル≫」


 ズシン…


 二つの火の玉が交錯し、互いに進んできた方とは逆に弾き飛ばされる。


 ―― ウッドコングを倒した ――

 ―― 山村太郎は精霊を倒したペナルティーでLV7に衰化すいかした ――

 ―― 山村太郎はドラミングを覚えた ――

 ―― ストレイキャットははん従属じゅうぞくした ――


 ゴチン


 空中に弾き飛ばされていた体が廊下に落下し、鈍い痛みを走らせる。


 「痛っ!くそ!…ドラミングなんて必要ねーよ!」

 『マスターのレベルが下がってしまいました!』

 「…どうでもいい。それより火のそばにいたから、めちゃくちゃ熱い。冷蔵庫のアイスでパフェを作ってくれ。それと、湿布!」

 『了解しました。』


 山口牛の濃厚ミルクで作ったバニラアイス1kg8000円。俺のマイブームだ。


 ああ。おいちぃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る