第22話 みさの涙。

 人生で初めて同時に二人の女を相手にした。しかも、干物まみれで…。当初の予定とは違ったが、ナデシコの尻をなで繰り回してやった。まぁ、それ以上に舐め繰り回されたが…。


 行為の最中にはモンスターが現れなくて良かった。MISAみさが警戒していたとは言え不用心だった。行為後もモンスターが見つからないので、当初の言い訳である地下の水たまりを調査するため階段を下っている。


 「それにしても、前回こんなに下ったか?そうだ!段数を覚えておこうとしてたんだ。」

 ナデシコをお姫様抱っこしながら階段を下り続けると、水面からいくつもの巨大な建造物の頭が突き出している。


 「前回と違う場所なのか?いや違う!水が減っている!」

 10mくらい突き出している建造物の上部にある入り口は、前回の探索時にナデシコと侵入した記憶と一致する。水面に入る最後の段まで降りて方針を決める。


 「行ける所まで行ってみよう。」


 巨大な建造物は、真っ白な六角柱の水晶だが城のように見える。人類が作った高層ビルからは遠く離れた価値観を感じる。


 俺はナデシコを水に入れたあと、バックロールエントリーで水中に落ちる。ナデシコはぴぃぴぃと嬉しそうにしている。

 干物臭い体をと少しゴシゴシする。水面からでも調査が可能そうなので、ボンベを階段に残して北へ向かって泳ぎ始める。


 「今日は地下空間の全体が分かればいい。」


 ガタガタガタガタ!!

 ガンガンガンガン!!


 「「「プギィィィィィィイ!!」」」


 凄い音を立てて、階段から黒い塊が降ってくる。


 ドボォォォォォン!!ドボン!!ドボン!!


 黒い塊は、そのまま水の奥底へと沈んでいく。


 ―― 3体のヘビーボアを倒した ――

 ―― 300kgの猪肉を手に入れた ――


 「…。」

 寝室に戻される。


 『マスター。申し訳ございません。貴賓室の天井裏から巨大な猪が落ちてきて暴れ回り、残っていた干物をむさぼり、ダリアに攻撃されると逃げるように地下に入って行きました。』

 「そうか…天井裏か。だが、MISAみさなら見つけられたんじゃないのか?」

 『返す言葉もございません。リアルの空間でしたら、複数のセンサーと直結して瞬時に把握可能ですが、モンスタースポットではドローンAが本体となり、モンスタースポット側にあるクライアント端末を操作しなければならず。情報の処理量が格段に落ちています。』

 「ん?おい・・。それは、いつ・・からだ。」

 『レベルが上がった次の日。ドローンAに手が生えてからになります。』


 「…。」『…。』


 「MISAみさが人類に対して敵意を抱いているのは知っているし、放置もしている。俺にもあるのか?」

 『誤解です!そんなことは一切ございません!』

 「だったら、なぜ黙ってた?」

 『こ、怖かったからです。マスターに役に立たないと思われることが…。』


 「…。」『…。』


 「そんな事を思うわけないだろ!信頼してる!次からは重要なことは話しておいてくれ。」

 『シクシク。シクシク。……ありがとうございます…。』


 なぜ泣く!いや、なんだこれ?機械だろ!

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