第20話 非常にけしからん。
戦車が一台増えている。
俺はテーブルの上の物を指して、
「
『鶏肉100kg分の唐揚げですから。喜んでくれるといいですね!』
「あ、ああ。」
家に友達を連れてきたら、喜ぶ母親みたいな言い草はやめて欲しい。これがいたずらっ子か?!
『6時まで5秒前、4、3、2、1、』
『ダイブ確認。』
「
貴賓室のテーブルにある山もりの唐揚げをフォークで刺して、ダリアとナデシコの口に放り込む。
もぐもぐ
シャァ!
ぴぃ!
にゃん!
お気に召したようだ。次に取り寄せておいた愛媛青森スカッシュ1本2000円。濃厚な果汁を贅沢に使った炭酸ジュースをコップについでやり、コップの使い方をジェスチャーで伝える。
シャァ!
ぴぃ!
にゃん!
これもお気に召したようだ。
『マスター。確認です。』
「ん?なんだ。」
『その猫のコスプレの幼児はどなたでしょうか?』
「「「…。」」」
「にゃにゃ?≪仲良しっ子≫なのにバレちゃったにゃん?」もぐもぐ
ゆっくりと日本刀を引き抜く。
「待つにゃん!待つにゃん!」ごきゅごきゅ、ぷはー
「お前は何者だ?」
「何者でもないにゃん!にゃんはにゃんにゃん!」もぐもぐ
俺は、ガキんちょの首根っこをつかんで廊下に放り出す。
「この先にあるキッチンの白い箱からなら、勝手に食べていい。だが、この部屋には二度とくるな。」
『マスター。
「いやだ。人の話の最中に、人の用意した食事を勝手に食べ続ける奴とは仲良くなれん。とりあえず、リビングとキッチンの映像は出せるか?」
猫スプレイヤーとモンスター。さて、どうだ?
リビングにいる巨大な亀。甲羅の隙間や溝からちろちろと炎があふれている。その横を何の気にもなしに猫スプレイヤーは通り過ぎて、台所にある冷蔵庫から千葉県産高級干物1枚2万円を取り出して、ぱくぱくと食べ始める。そのモニターを見ていたナデシコがぴぃ!ぴぃ!と唐揚げの突き刺さったフォークをテーブルに叩きつける。行儀が悪い!とは思ったが、魚相手に注意する意味がないと諦める。
「どうした?この亀が気になるのか?」
「ぴぃ!ぴぃ!」
「まぁ、亀だし。猫も平気そうにしてたんだ。見に行ってみるか。」
俺はナデシコをお姫様抱っこしてリビングにいく。
俺たちがリビングに入ると今までおとなしかった亀が噓のように暴れ始める。体重で押しつぶしていたテーブルを自分の腹でバンバンと叩き付けて威嚇し、大きく口を開けたかと思った瞬間。
バババババババッ!
亀の口から数十の真っ赤に燃えた石が高速で吐き出される。俺はナデシコを抱えたまま、宙を飛ぶように床や壁を蹴りキッチンに飛び込む。亀はノソノソとキッチンに頭を向ける。
俺は
ガツン!!
「にゃー!!にゃんの
冷蔵庫がぶつかる瞬間!亀は機敏に頭を引っ込めて甲羅に閉じこもり、こちらの様子をうかがう。
パシュッ、ザァーザァー
台所のスプリンクラーが稼働して、キッチンに水が降り注ぐ。
『マスター。支援にスプリンクラーを作動させました。』
「水は嫌いにゃー!!」
猫スプレイヤーは逃げるように庭へ駆け出す。
「ぴぃー!」「お!おい!」
ナデシコが俺の腕の中から飛び出すと、水色の闘気を放出して床に溜まった水を操って水流を作り、滑るように亀の方へと移動して行く。
「≪
バチィィィン!
水というより鉄の塊でも当たったかのような凄まじ音と、亀の甲羅の隙間から大量の水蒸気が立ち
バチィィィン!
バチィィィン!
ナデシコは亀への攻撃を休めない。俺も手をかそうと10万円の消火器で亀から火のでている所を重点的に消化する。
しゅぼぉぉぼぉぉぉぉ
しゅぼぉぉぼぉぉぉぉ
しゅぼぉぉぼぉぉぉぉ
―― ファイヤータートルを倒した ――
―― 山村太郎は
――
―― シードラゴンは
「ん?リアルの空間に戻らないな。」
ナデシコは爆発するような水色の闘気を放つと額から一本の角が飛び出し、レースのようなヒレが増え、胸以外のスタイルがグーンと成長した。
―― ホーンシードラゴンに進化した ――
「戻った…な。しかしアレだ。ナデシコの腰回りが非常にけしからんかったな。うん。けしからん。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます