第19話 みさの可愛いところ。

 「MISAみさ。これはなんだ?」

 『はい。戦車型のドローンです。』

 それはもう…ラジコンだ!


 「そういう意味じゃない。なぜ、わざわざ、走行させている?」

 『飛行体では、攻撃されると直ぐにプロペラが壊れ行動不能になります。走行体なら多少の攻撃にも耐えられると考察します。』

 確かにな。ただ、方向性を間違えている気がする。


 俺は宝剣をふきふきして、コレクションラックに飾る。最初は成金みえっぱりっぽくて嫌だったが、手に取ると中々に品があり、これだけ装飾されているなら銃刀法違反にもならないだろうと飾ることにした。


 「よし。今日はこいつ・・・がある。すんなり、リアルの空間に帰還だ。」

 背中から手と足にそうような骨組みのパワードスーツに左手に装てんされているパイルバンカー。浪漫道楽堂ろまんどうらくどうで購入した100万円の浪漫ろまんバンカースーツである。

 中二心がワクワクする。


 『6時まで5秒前、4、3、2、1、』


 『ダイブ確認。』

 「MISAみさ。OKだ。」


 MISAみさの捜索で、リビングに大型のモンスターがいることがわかった。クイーンビーのダリアとのスキンシップを終えてから、人魚のナデシコを抱っこして水を張っておいたタライに移す。


 貴賓室に持ち込んだパソコンを経由して機械MISA機械ラジコンを操っている。なんとも、シュールだ。戦車につけられたカメラが廊下を映す。キュルキュルと2台の戦車が廊下を進んで行く。リビングにいたモンスターは、巨大なニワトリだ。


 戦車の砲台から、ドン!ドン!ドン!と針が射出される。特撮を見ているようでほほえましくなる。

 「MISAみさ。何を飛ばしている?」

 『フグ毒を塗った針です。』

 予想以上に、えげつなかった。


 針を受けると怒りをあらわにしてニワトリが大きく暴れ回り、口からガスを噴出しながら戦車を踏み潰す。


 べきっ、べきぃ


 戦車は2台とも沈黙した。

 全然、攻撃に耐えられてねぇーじゃねーか…。


 パン!パン!パン!

 リビングに仕掛けてある催涙スプレーが破裂し、パニックになったニワトリが大きな体をぎゅうぎゅう潰しながら廊下を突き進む。

 「このままだと、こっちにくるな?」

 『申し訳ありません。考察に誤りがありました。まさか、あの図体ずうたいで庭にでずに廊下に…。』

 「構わん。あの状態なら、こいつ・・・でとどめを刺してやる。」


 俺は貴賓室から出て廊下を走り、全体重をのせてニワトリを殴ると同時にパイルバンカーを作動する。


 ガチィィィィィィィィィ!!!!


 ニワトリのクチバシを砕くが、パイルバンカーも同時に砕け散る。

 「くっ!」

 後方にバックステップして間合いを取るが、ニワトリは目を回してピヨピヨしている。

 ニワトリの首をめがけて、日本刀を抜き放ち一閃する。


 ―― コカトリスを倒した ――

 ―― 山村太郎はLV7に成長した ――

 ―― 山村太郎は激しい踊りを覚えた ――

 ―― 山村太郎は抜刀一閃を覚えた ――

 ―― MISAみさはいたずらっ子を覚えた ――

 ―― 鶏肉100kgを手に入れた ――

 ―― 部位破壊ボーナスのコカトリスのクチバシを手に入れた ――


 「なんだ!踊りって!いや!いたずらっ子ってアホか!」

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