第17話 水中に咲くナデシコ。
ひと
『マスター。地下は何があるか分かりません。お気をつけください。』
「分かっている。10分、20分調査したら戻る。」
『6時まで5秒前、4、3、2、1、』
『ダイブ確認。』
「
直ぐに発見できるようなモンスターはいなかった。俺はダリアとのスキンシップを終えてから、人魚を抱っこして地下に進む。明かりはダイビング用のライトのみ。
「前回、こんなに階段を
「ぴぃぴぃー。」
「水の匂いをかぎとったか?そうだ、これから俺とお前で、この下にある水たまりを調査する。」
水面に到達し、ゴーグルをかけマウスピースをくわえ、一歩、二歩と水面に足を踏み入れる。そこから、人魚を抱えたまま、ジャイアントエントリーで水中に飛び込む。
ドボン
小さな泡が視界を覆うが、直ぐにライトの明かりだけの暗闇に戻る。
シュコー…シュコー…
水中に入った瞬間に俺から離れた人魚が、俺の周りを楽しそうに泳いでいる。
水中に伸びている階段を目印にゆっくりと水の底へと進んで行く。
水たまりは思ったより深い。俺が潜れる深さは30m。それ以上は俺の技術では無理だ。吐き出す酸素の泡のみの宇宙空間を思わせるような途方もない暗闇を進んで行く。深度計が10、11、12mと進んで行くと何か見え始める。20m付近に建物の屋根らしき建造物がいくつも見え始める。
建造物の中に入れそうな入り口を見つけて、人魚に指信号で合図を送り、中へと侵入する。
広いな。オレん家の大広間くらいのまどりだが、天蓋付きのベッドがある。しかも、水中なのに劣化がみられない。今日、昨日、水中に設置したかのようだ。
人魚が奥の部屋からドレスを持ってきて、肩に合わせてひらひらと楽しそうに舞っている。
いろいろあって、お前に名前をつけてないな。
シュコー…シュコー…
「名前ないんだろ?ナデシコなんてどうだ?」
―― シードラゴンは巣穴の確保と餌の供給を要求した ――
シュコー…シュコー…
「いや。無理だろ。ダリアにも言ったが俺も毎回、
―― シードラゴンの従属に失敗した ――
断るとすぐに、人魚が俺に執拗に絡みついてくる。
シュコー…シュコー…
「
ごぼごぼ…
ナデシコによって、マウスピースが奪われる。
ごぼごぼ…
何を考えてやがるんだ!く、、、酸素が、、、し、、、ぬ、、、、
意識がなくなる寸前に、ナデシコからキスをうける。ナデシコの口から水色の闘気が俺に流れこんでくる。口に肺に水があふれていく。
ぐはっ!?
「何しやがる!殺す気…か……ん?水中で呼吸できてる?ナデシコがしたのか?!」
ひっぱたきたいくらいムカついたが、気を取り直して、このまま探索しようと、奥の部屋に向かうと急激に苦しくなる。ナデシコから流れる水色の闘気が距離が離れるごとに薄くなるようだ。
ナデシコを見るとベットの上で、わざとらしい仕草で退屈そうにしている。
これは、ギブアンドテイクってことだよな。
先ほどまでの怒りを忘れて、意気揚々と挑んだ俺だったが、人生初の水中戦は惨敗だった。
行為後にベットでまったりしていて、ふと、恐ろしい考えがよぎった。ここで、リアルの空間に戻されたら、もしかしたら、家の下の土の中なのではと。俺はナデシコを引っ張って地上に戻ろうと手を引こうとするが、逆にベットに押し付けられてしまう。ナデシコは行為が再開したのかと嬉々として俺の行動を抑え込んでいく。その攻防の最中だった。
―― マッドゴーレムを倒した ――
―― クイーンビーはLVが1上がりLV18に成長した ――
―― クイーンビーは泥遊びを覚えた ――
―― 3個の泥玉を手に入れた ――
「はぁ!はぁ!こ、ここは…。」
辺りを見回す。そこは、俺の寝室だった。
『マスター。すごい汗ですね。レモネードをお持ちします。』
「あ、ああ。地下の場合、寝室に戻されるのか…。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます