第16話 バスで泡を吹き付ける。

 『マスター。質問です。』

 「なんだ?」

 『性病の検査には行かなくてよろしいのでしょうか?』

 「…。草食って治った。」

 『あの草で治る保証はありません。検査をおすすめします。』

 「いや、ほら、人魚も抱いちゃったから、な?もう一週間保留だ。」

 『…。分かりました。一週間後に再度、お声がけします。』


 もし感染とかしていたら、病気が分かっちゃうんだぞ!感染してるとか言われたらと思うと、怖いんだよ!


 「ぅ、おほん。そういえば、俺も質問だ。昨日のコレ・・の耳鳴りで、MISAみさがレベル2になったとか聞こえたんだが、何のことだかわかるか?」

 『はい。昨日のモンスターとの交戦時にドローンに設置した刃を使用して屋根にいた3体を倒しました。』

 「なるほど…。わかった。」

 最近、MISAみさがちょくちょく俺の命令を無視しているのが気になるが、自己判断のためのAIだ問題ない。


 『マスター。6時まで5秒前、4、3、2、1、』


 『ダイブ。通信確認。』

 「MISAみさ。OKだ。」


 クイーンビーのダリアが人魚・・の頭をわしゃわしゃした後にソファーに卵を産み始める。

 「…。」

 俺じゃないのかと、ちくりと心に何かが突き刺さるがボッチの俺はこういう時に何もできない。ただ、ただ、石のように時が流れるのを待つだけ。


 蜂がかえり廊下に飛んで行くと、ゆっくりとダリアが俺のところに飛んできて頭をわしゃわしゃした。

 「…こ、こないだは、悪かった。」

 先ほどとは打って変わって、温かい気持ちが心に広がっていく。


 『マスター!マスター!』

 「どうした?」

 『どうも、ドローンAに手が生えたようです。』

 「手?」

 リビングに入ってきたドローンを見ると確かに1つのアームがついている。楕円体と球体をただつなげただけで間接には物理的にはありえない隙間がある。ちゃちなポリゴンのようだ。

 『今まで、コレ・・の空間にはほとんど干渉できませんでしたが、ドローンAは、コレ・・の空間側にあるようです。』

 「そうか、ところで、何で俺の顔を触っている?」

 『?!失礼しました。マスターに触れれると考察したらつい・・。』

 「まぁいい。探索結果を報告しろ。」

 『屋内、屋外ともにモンスターらしき存在はありません。ただ、風呂場に緑のシミがあります。』

 「シミ?そりゃ、カビだな。手があるんだし、バス用の強酸性・・・洗剤をスプレーしておいてくれ。」

 『了解しました。』


 その間に、買っておいた8万円のたらいに人魚を入れて、1本12リットル5000円のウォーターサーバーの水をかけてやった。ぴぃぴぃと気持ちよさそうだ。


 ―― レイスを倒した ――

 ―― MISA・・はLV3に成長した ――

 ―― MISA・・はソウルフィアーを覚えた ――

 ―― 呪われたイヤリングを手に入れた ――


 「MISAみさ。何があった?」

 『マスター。わかりません。ただ、カビにスプレーしただけです。』

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