第15話 優しく抱きしめる。
「どう考えてもオレん家は危険んだ。
『マスターは、我々にとって神です。神の
「やめろ。神だなんて。存在を定義するのに否存在を定義する必要はない。そもそも、
『マスターを神のように慕っていることが、種族が同じというだけの人間を神と慕うことにはなりません。』
「はぁ。ま、俺にはどうでもいい。」
人類植民化計画。内容は単純だ。A国とB国があるとしよう。A国で特許や権利の取られているものが、B国ではまだ取られていなかったりする。その差を世界規模で解析し、全ての権利をAIが握るというものだ。骨董品のような法律を使っているこの国では、法律すら解析されてAIによる植民化へ一直線である。まぁ、その元凶のAIを作ったのは俺だが…。
そんなすごい計画を実行しているなら、俺がとてつもない大金を持っていると思うだろ?残念だが俺の金ではない。
「ところで、
リビング一面にところ
『はい。ダリアと仲直りした方が、マスターの生存確率が上がります。そのために、蜜の多い無農薬の花を仕入れました。』
領収書 花代 28万円
たいした額ではないが、自分に不必要なものとは、何故にこう無駄に感じるものか。
「そろそろだな。」
『はい。6時まで5秒前、4、3、2、1、』
『ダイブ。通信確認。』
「
ぴちぴち
ブブッブブッブブ
ダリアの刺すような視線を、人魚は我関せずと
「や、やあ。ダリア。昨日は君を傷つけたみたいだね。君のために部屋一面の花を用意したよ。」
花を一束持って、ダリアに近づき差し出す。
ダリアは俺をじーっと見たあとに、差し出した花をむしゃむしゃと食べ始める。
あれ?まるごと食べるのかい!
『マスター!緊急です!大広間から廊下を高速でリビングに向かって…』
話を聞き終わる前に、ダリアの手を引き人魚を抱えて庭に飛び出す。振り向いてリビングを確認すると次々に巨大な犬がなだれ込んでくる。
「
バン!バン!バン!
リビングに仕掛けてある催涙スプレーが次々に破裂し、パニックになった巨大な犬が次々と庭に飛び出してくる。すかさず、パン!パン!パン!と捕縛ネットが降り注ぎ、動けなくなった巨大な犬を背負っていた日本刀を引き抜いてととどめを刺していく。
『マスター!まだです!』
屋根から次々と巨大な犬が襲いかかってくる。俺にこんな身体能力があったのかと思うくらいの動きで、俺に跳びかかってきた巨大な犬を切り伏せる。
「シャアッ…!」
痛々しい叫び声で後ろを振り返ると、ダリアが2頭の犬に嚙みつかれて地に押し付けられていた。
「ダリア!」
「いったい、何匹いるんだ!」
直ぐにダリアを治療したいが、巨大な犬たちは俺たちの周りを取り囲み隙を伺っている。
「≪
人魚は発生させた水色の闘気をダリアに振りかけると、ダリアの傷がみるみるうちに回復する。動けるようになったダリアは、羽をはばたかせ高く高く舞い上がる。
上空に舞い上がったダリアの動きは凄まじかった。俺に意識が向いている犬を見つけると、高速で飛びつき犬を抱えて空に舞い上がり尻についている腹からの巨大な針で絶命させていく。ほんの数分の間で取り囲んでいる犬は一匹もいなくなった。ダリアは上空を巡回し危険がないと思ったのだろう、ぐったりしている人魚の前に舞い降りる。かなり精神力を使う魔法だったのだろう。
ダリアが優しく人魚を抱きしめたのを見て、俺はホッと胸をなで下ろした。
「がっ…くぅ…がっ…。」
リビングから微かに音が聞こえるので、二人を残して確認に行くと、催涙スプレーで白目を向いて気絶している巨大な犬がいたのでとどめを刺す。
―― 32体のファングウルフを倒した ――
――
―― 32個の小さな魔石を手に入れた ――
「石か。こ汚い布についで、バカにしやがる。食い殺されそうになったってのに!」
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