第13話 ぴちぴち。
昨日も
無許可で売り出して買い手でもついたんじゃねーだろうな。
「
『マスター。了解しました。』
昨日の不愉快なことなどどうでもいい。今日の方針だ。
地下の水たまりを捜索したいが、必要なダイビングツールが届くまでにしばらくかかる。俺は地下に
「安全に戦える銃のような武器はないものだろうか。」
『マスター。火炎放射器はもう使用しないのですか?』
「あー。あれか。あれは威力はあるんだが、火事に巻き込まれて死にかねん。」
口にはしないが、元に戻るとはいえ自分の家が全焼するのは辛いものがあった。
『では。ただ尖っているものはどうでしょうか。尖っているだけでしたら、銃刀法違反になりません。』
「なるほど。それいいな!確かネットで
『マスター。思考中に申し訳ございません。6時まで5秒前、4、3、2、1、』
『ダイブ。通信確認。』
「
クイーンビーのダリアが俺の頭をわしゃわしゃした後にソファーに卵を産み始める。
「…。まぁ、スキンシップだしな。悪い気はしない。」
『1体のモンスターを発見しました。ゆっくりと庭で動いています。』
「わかった。」
俺はダリアと蜂を連れて、庭に行く。
ぴちぴち
ぴちぴち
なんて間抜けな光景だろう。陸に上がった魚だ。まぁ、正確には人魚だ。緑色の髪に真っ黒な瞳、えらのような耳に流れるような肢体、胸は水圧を考慮してなのか、少し残念、下半身は魚っぽい何かだ。
「ぴぃーーー!」
威嚇している声も、地上を想定していないのだろう。よわよわしい。
ブブッブブッ!!!!
ズガガガッッッッッッ!!!!バシャン!!
蜂が風の刃を放ち攻撃すると、人魚は水の壁を使って防ごうとしているが、水の壁は弱々しく簡単に粉砕されて何度も何度も弾き飛ばされ、人魚の体に傷が増えていく。
「ダリア。やめさせろ。こいつは使える。」
「シャァ。」
ダリアは俺を
「豚人間の…いや、ビーフジャーキーだ。これを食べたら、少しは回復するかもしれない。ほら。」
ダリアだって言葉が分からないのに、こんなに意図を組んでくれるんだ。人魚だってわかろうと努力するはずだ。…そもそも、ジャーキーを食うのか疑問だが。
しばらく視線が交錯したあと、ゆっくりと、ゆっくりと、這いずりながら近づいてくる。ちらちらと俺の様子を伺いながらジャーキーに口元を近づけるとぱくりと俺の指ごとくわえて
もぐもご
べちょべちょになった指を引き抜いて、ハンカチで拭いさらにジャーキーを差し出すと同じように指ごとぱくりとくわえて
「いいか。今からお前を水のあるところに連れていく。暴れるなよ。」
ゆっくりと人魚をお姫様抱っこして持ち上げる。
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