第10話 涙目で暴れ回る。

 巨大な怪物が現れてもいいように、地下シェルターを作ってもらおうと建築士に相談したところ、ここら辺は貝塚が頻繁に発掘されるので土地の保存義務があるとのこと、つまり、増築や立て直しをしてはいけない。

 マジか!この家、どんだけ俺にストレス増やせば気が済むんだ!


 「くそ眠い。」

 朝5時に起きる。昨日は、ここの所のシモ・・の悩みのストレスで、50万円のブランデーを1本あけてしまった。命にかかわる時に何やってんだ俺は!


 『マスター。毒消し草を試してみてはいかがでしょうか?』

 「ああ。なんか軽いものに調理してくれ。」


 おかゆと毒消し草のおひたし。


 食欲がねぇ…。ぱく。怪物の出現に何か法則があるんだろうか?ぱくぱく。ダリアは、普段はどうしているんだろう?ぱくぱくぱく。お?!二日酔いが直ってるな!


 「MISAみさコレ・・に関して何か推測できるか?」

 『このような怪物を人が使用する際は、ゲーム内に設置します。マスターは、ゲームの駒にされているのではないでしょうか?』

 「ゲームか。あまり俺はやらないが、その推測の通りならクリアすればいいんだよな。何をしたらクリアだと推測できる?」

 『怪物をモンスター・・・・・と定義するのでしたら、大抵のゲームの場合、魔王の討伐になります。』

 「魔王?それは、昨日のモンスター・・・・・みたいに強いと推測できるか?」

 『ゲームでは一番強い設定になっている場合が多いです。』

 「なるほど…もしその推測が正解だとしても無理だ。他の線を考えよう。」

 『マスター。そろそろ時間です。』

 「ああ。」

 『6時まで5秒前、4、3、2、1、』


 『ダイブ。通信確認。』

 「MISAみさ。OKだ。」


 クイーンビーのダリアが俺の頭をわしゃわしゃした後にソファーに卵を産み始める。

 「…。」


 『振動センサーによる屋内おくない確認。』

 『マスター。危険です。モンスター・・・・・は組織的な動きをしています。』

 「何?!人なのか。」

 『分かりません。ただ、人類の歴史上、ことなる文化の衝突は戦争を生みます。』


 卵からかえった蜂の一匹が廊下に出ていくと、ダダダ!と複数の矢が突き刺さりゴロンと落下する。間髪入れずに2mの巨大な生き物がすさまじい速度でリビングに侵入、跳躍して、俺の頭部に斧を振り下ろす。

 「≪エアースラッシュ≫」


 ズガガガッッッッッッ!!!!


 小学校の頃にカッコイイセリフを叫んでいたクラスメイトのマネをするまもなく魔法を放ってしまった。魔法の直撃を受けたモンスター・・・・・は壁まで吹き飛び、転がるように廊下に下がる。その顔はこ汚い豚だった。


 息を吞む間もなく、廊下から矢の雨が降り注ぐ。ダリアから、かなり濃い緑の闘気があふれ、矢を弾き飛ばす。

 「ダリア!こっちだ!」


 こんなリビングの真ん中につったっていたらイイまとだ。庭に飛び出し家の壁を背にして退避する。ダリアと蜂も後に続く。フゴッフゴッと何やら話し合っている声がかすかに聞こえる。

 『マスター。廊下の3体がリビングにゆっくりと侵入してきました。』

 「よし。コレ・・の空間でスイッチを実行できるか?できるならタイミングは任せる。」

 『了解しました。問題はありません。電圧のノイズ差により、リアルの空間に影響なく実行できます。』


 バン!バン!バン!


 リビングに仕掛けておいた催涙スプレーが次々に破裂する。


 「「「ブヒィィィィィィィィイ!!!!」」」


 目から大量の涙を流しながら転げるように庭に出てきた豚人間にパン!パン!パン!と捕縛ネットが降り注ぐ。豚人間はナイフを取り出して抜け出そうとするが、ダリアと蜂が襲いかかり肉片とかしていく。


 「うわぁ…。その肉をむさぼる姿を先に見てたら、絶対に抱いてない。ん?終わってない…のか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る