第5話 縛られてたたきつけられた。
家の大きさもある化け物をどうしろってんだ!もう、家なんて売っぱらってやる。命の方がずっと大事だ!
「
俺は市内のビジネスホテルで家の様子を高性能AIの
『マスター。変わりありません。』
「最初からこうしてれば、良かったんだ。何も危険を冒して家にいる必要はなかった。」
『6時まで5秒前、4、3、2、1、』
それは最悪の結果だった。
「ハ、ハ、ハハハ、、なんで俺の部屋なんだよ!市内のホテルから市外の俺の家に一瞬かよ!」
トイレに潜むか…いや、トイレが安全とは限らない…こえぇ。また、家並の巨大なトカゲじゃないだろうな…。
シュルシュル
「ん?」
足に巻き付いたツタがグワッと勢いよく俺を宙に吊り上げる。
「いきなりかよ!」
ポケットから折りたたみナイフをとりだして、足に巻き付いたツタへザクザクと突き刺す。
「外れろ!外れろ!」
ツタは俺をグーンと振り回し壁に叩きつける。
「がっ…!!!」
めちゃくちゃ痛てぇぇ…。逃げなきゃ、逃げなきゃ…。再度、ザクザクと突き刺す。
ブチィ
ツタが切れる。足に絡まった切れさきのツタを引っぺがして、廊下に走り出てそのままトイレに閉じこもる。
「はぁ…はぁ…。なんで、トイレに逃げちゃうかなぁ…。これじゃ、ガキの頃の俺じゃねーか。…くそ、こえーな。」
俺は腕時計をみる。1時間。1時間ねばれば、また、日常に戻れる。1時間…。
チク、タク、チク、タク…
まだ、5分か…
チク、タク、チク、タク…
まだ、7分…
チク、タク、チク、タク…
「だぁぁぁぁぁああああ!!!!ふざけるな!ここは俺の家だぞ!今回は、ただの植物だ!ただの植物だ!」
そっと寝室を覗くが植物の気配は感じない。ソッと寝室に入り、リモコンでクーラーの温度を極限まで下げる。
「植物だし、寒けりゃ弱るよな?って、勢いで寝室にきたけど、先に斧持ってくるべきだったな。」
リビングに向かおうとすると寝室の扉がバタンとしまってしまう。
「な、なんでだ?!」
よくよく見ると、部屋の壁も天井もツタでびっしりと覆われている。
「嘘だろ?!部屋入る前に確認したとき普通だっただろ!!」
俺に向かって四方からゆっくりとツタが伸びてくる。俺はツタに絡まれないようにナイフを振るう。
「でりゃ!うりゃ!おりゃ!」
健闘むなしく、右手、左足、右足と順々にツタに縛られていく。ほとんど身動きが取れなくなるとベットの下から人をまるまる挟み込めるようなハエトリソウがカパカパと首をもたげるように迫ってくる。
「やっぱり、ただの植物じゃねーか。」
シュッ!!
トイレ用の
シュッ!!
シュッ!!
シュッ!!
これでもかとドンドン吹き付ける。ハエトリソウは苦し紛れに俺に体当たりしてくるが、それによって手足がだいぶ自由に動くようになった。
「とっとと枯れちまえ!」
ナイフで傷付けては、シュッシュッと洗剤を吹き付ける。それを数分続けると、段々とハエトリソウの動きがとろくなっていき、少しづつ茶色に枯れていった。
―― イービルプラントを倒した ――
―― 山村太郎はLV4に成長した ――
―― 山村太郎は
―― 薬草を手に入れた ――
「草だけに草かよ!」
俺はたんぽぽの葉のような薬草の葉を1枚だけ口に入れてもぐもぐすると、壁に叩きつけられた背中や、体当たりされた腹部の痛みがすぅーっと引いていった。
「おいおい。すげーな。これ。でも、それ以上に…苦げぇ!!!」
そういや、クーラーは止まっているし温度も下がった感じはしないな。
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