ぽよ?

 勇者と呼ばれる人々がいます。

 彼等、或いは彼女達は、人に仇成す魔物の討伐を仕事としています。その目的は一攫千金目当てだったり、根なし草でも出来る仕事だからだったり、魔法の試し撃ちのためだったり、正義感だったり……人によって様々。共通点があるとすれば、彼等の誰もが『勇ましい』者達である事でしょう。魔物との戦いは常に命の危険があり、勇敢さがない者には出来ない事ですから。

 そのような勇者界隈で、伝説と呼ばれるチームがありました。

 軽薄な口振りからは想像も出来ませんが、素早い槍裁きで数多の敵兵を貫いたという亡国の騎士デュナミス。

 齢十七にして何百もの魔法を使いこなす天才魔法使いセリーヌ。

 生まれながら神秘と浄化の力に満ち、下等な悪魔ならば近付く事すらままならない聖女アンリ。

 そして天性の才覚と機転により、熟練の戦士すらも打ち負かしてしまう若き剣士ロイ。

 数多の魔物を征伐し、誰一人として仲間を失わず、金や名誉ではなく正義のために戦う気高き勇者達――――そんな恐るべき集団が、ぽよぽよちゃんの前に現れた四人組の正体だったのです。ひょっとしたらぽよぽよちゃん、大ピンチ?

 ですが当のぽよぽよちゃんは、やっぱり危機感なんてなく、ぼんやりと四人を眺めていました。

「ま、所詮スライムだ。さっさと片付けようぜ」

「デュナミス。あなたはまたそうやって油断する……町人の話によれば、あのスライムは既に幼子を一人喰らっているのですよ」

「それに、普通のスライムは人の形なんか取らないでしょ」

「へいへい。忠告ありがとうございます」

 修道服を着た乙女アンリさんと、とんがり帽子の女の子セリーヌさんに窘められ、鎧姿の男であるデュナミスさんは軽口を叩きます。

「そんじゃあ、隊長の意見を伺いますか……ロイ、どうする?」

 そして剣を構えた青年……ロイさんに、指示を求めました。

「……相手はスライムだが、子供とはいえ人を丸呑みにしている。瞬発的には素早く動けるだろう。不幸中の幸いだが、子供を飲み込んだ分だけ重くなり、動きは鈍っている筈だ。手早く片を付けるぞ!」

「りょーかいっ!」

 剣を構えたロイさんと槍を握り直したデュナミスさんが、疾風の如く速さで駆けてきます。

 対するぽよぽよちゃん、満腹でころころころころするのが精いっぱい。仮に動けたところで、ぽよんぽよんと弾むのが限度です。到底逃げ切れません。

 ロイさんは素早く、鋭い切っ先の剣を叩き付け、

 ぷにょーん、とぽよぽよちゃんの身体は潰れました。

「――――何ッ」

 ロイさんは驚いたように目を見開きます。一般的にスライムの皮膜は薄く、犬が噛み付いただけで破れるほど脆いのです。剣で斬ろうとすれば当然一撃で終わります。しかしぽよぽよちゃん達スライムさんの皮膜はとても厚く、ちょっとやそっとでは切れません。お陰でこの一撃は難なく耐えました。

 ですが彼等も歴戦の勇者達。この程度の予想外で乱れる事はありません。ロイさんは跳び退き、素早く体勢を立て直します。

「せいっ!」

 そして一瞬の隙を埋めるように、後ろに居たデュナミスさんが槍を振るいました。

 ぽよぽよちゃんの皮膜は頑丈ですが、それは叩くという方向に対してです。突く、という攻撃への耐性は、あまり高くありません。

 ブスリと、デュナミスさんの槍はぽよぽよちゃんを貫きました。

「良し!」

 素早くデュナミスさんも後退し、ぽよぽよちゃんから槍を引き抜きます。同時に勝ち誇るような笑みを浮かべました。

 スライムの体組織は液体状です。そのため小さくても穴が開くと、身体の中身が止め処なく出てきてしまいます。ぽよぽよちゃんの体組織も、水分を蓄える機能を持つタンパク質の影響により比較的固形に近くはありますが、自力で形を留めていられるほど頑丈でもありません。ましてや今はお腹いっぱいの状態。体組織は消化してスープ状にした食べ物が満たされ、極めて液体に近くなっています。

 開けられた穴から、ぽよぽよちゃんの中身が勢いよく溢れ出しました。青色の液体でしたが、まるで首を切られた獣が血を噴き出すような光景です。当然ぽよぽよちゃんの命はもう長くない

 と、彼等は思ったでしょう。

「ぽよ? ……ぽよー!?」

 ぽよぽよちゃん、ワンテンポ遅れてようやく自分の身体に穴が空いた事に気付きます。流石のぽよぽよちゃんも、身体に穴が空いたら大変な事は重々承知しているのです。

 だから、塞ぎました。

 目視可能な早さで、皮膜を再生させるという方法で。

「いっ!?」

「う、噓……!?」

 勇者達の誰もが驚きます。魔物には魔力があるので、魔法で傷を癒やす事はあります。高位の魔物の中には出鱈目な魔力を用いて、詠唱なしに回復する個体もいるそうです。ですがぽよぽよちゃんはスライムの一種。犬にも負けるスライムの魔力などお察しです。ぽよぽよちゃんの行為は、彼等の理解を超えるものでした。

 さて、ぽよぽよちゃんの再生機能ですが、これも進化によって獲得したものです。

 ぽよぽよちゃん達スライムさんが暮らす島は、昔は兎も角、今ではすっかり見晴らしの良い岩場です。そのため隠れる場所が何処にもなく、嵐が来ても耐えるしかありません。

 しかし嵐がもたらす暴風は、島にある小石を矢のように飛ばしてくる事があります。

 柔らかい皮膜ではこの猛攻に耐えられません。けれども皮膜の強度を高めると動きが鈍くなり、また食べ物を捕らえるための変形も出来なくなります。嵐に耐えられても、その後食べ物が取れなくては意味がありません。

 そこでスライムさん達は、傷口をすぐに治すという進化を辿りました。

 無論それは簡単な事ではありません。本来スライムが持っている機能の幾つかを退化・消失させ、構造を単純化させる必要がありました。失った機能は多岐に渡りますが、お陰で今回も難を逃れました。これで一安心と、ぽよぽよちゃんは安堵します。

「おいおい、マジかよ……こりゃ、そんじょそこらの魔物とは訳が違うぞ……!」

「物理攻撃は通用しないか。どうやら、スライムと思わない方が良いらしい」

 対する勇者達は、苦悶の表情を浮かべています。再生能力の高さを目の当たりにし、ぽよぽよちゃんへの警戒度を引き上げたようです。

 ぽよぽよちゃんも、「なんか、いやなのー」と思い始めていました。攻撃の概念はありませんが、気分の善し悪しはあるのです。彼等と一緒に居ても、あまり楽しくありません。

 嫌な事からは逃げるに限ります。ぽよんぽよんと、ぽよぽよちゃんは彼等に背を向けました。

「逃げるつもりのようですが、そうはいきません」

 その様を見て、アンリさんが素早く呪文を唱えます。

 するとどうでしょう。アンリさんの周囲に、光の球が現れたではありませんか。球の数は四つ。いずれも眩く、神聖さを醸しています。

 これは聖女であるアンリさんしか使えない、浄化の光です。魔力と反応を起こし、その際に生じる熱を持って敵を膨張・破裂させるという、聖女らしからぬ奇跡の技です。そして魔物とは、大なり小なり魔力を持つモノ。故にこの技から逃れられる魔物はいません。

 アンリさんは浄化の光を、ぽよぽよちゃん目掛け容赦なく放ちます。哀れぽよぽよちゃん、避ける事も適わず、浄化の光の直撃を受けてしまい

 ――――ぽこんっ。

 なんとも間抜けな音と共に、浄化の光を弾きました。残る三つの光も、ぽこんっ、ぽよんっ、ぽかんっ、と弾かれました。弾かれた球はころころと地面に転がります。

「ぽよ? ……ぽっぽよ~♪」

 そしてぽよぽよちゃん、転がった光の球に気付くと、突いて遊び始めました。まるで堪えていません。

「そ、そんな……!?」

 アンリさん、予想外の事態に表情を絶望で歪ませ、後退りしてしまいます。

 さて、この事態ですが……理由は簡単。実はぽよぽよちゃん達スライムさん、魔物なのに魔力を全く持っていないのです。何故なら魔力を生成するための器官が退化し、消失しているから。

 魔物の魔力は、主に戦闘で用いる魔法のために使われます。スライムでも簡単な治癒魔法ぐらいなら使い、敵から逃げる時に役立たせます。ところがぽよぽよちゃん達スライムさんは、天敵のいない島で進化しました。島ではわざわざ魔力を生成する必要がありません。むしろそんな器官を作るぐらいなら、体組織で満たして栄養の貯蔵庫にした方がマシです。再生力を高める上でも、複雑な魔力器官は邪魔でした。

 こうしてぽよぽよちゃん達スライムさんは、魔力を失ったのです。またしても偶然の進化に助けられました。

 しかし勇者達はそのような事情など知りません。彼等からすれば、ぽよぽよちゃんはあらゆる攻撃を無効化する、さぞ恐ろしい怪物に見えるでしょう。

「なんて奴だ……アンリの浄化がまるで効いてねぇ!」

「結界を張っているのか? いや、浄化の光は魔力に反応する。あのような反応をするとは……」

「反撃してこないのは良いが、それがまた不気味だぜ……」

 デュナミスさんとロイさんも一歩後退り。ぽよぽよちゃんと距離を取ります。

 ぽよぽよちゃん、まだ何もしていませんが、相手をとてもビビらせているようです。

 ……正確には、何も出来ない、と言うべきですが。

 ぽよぽよちゃん達スライムさんは、そもそもにして『敵』というものが分かりません。島で脅威と呼べるものは嵐ぐらいで、何をしても徒労に終わるだけ。抗おうという考えはどんどん退化していきました。退化した思考には、敵を攻撃する、という考えは浮かびもしないのです。

 え? スライムや子供の時のように食べれば良いじゃないかって?

 そうですね、食べるというのも立派な攻撃でしょう。ただし、襲われる側にとっては、です。ぽよぽよちゃん達スライムさんにとって、食べるというのは『食べる』ための行為でしかありません。攻撃に転用するという発想はないのです。

 光の球で遊ぶのに飽きたぽよぽよちゃんは、嫌なものがいる事を思い出し、そそくさとその場を後にしようとしました。

「ああもう! じれったい!」

「! 待てセリ――――」

 それを逃すまいと、今度はセリーヌさんが前へと出ます。咄嗟にデュナミスさんが止めようとしますが、天才魔法使いのセリーヌさんが呪文を唱える方が早いです。

 魔法使いは、自らの魔力を呪文の力によって操り、魔物と同じ力を使う事が出来る人々です。その威力は、非人道的の一言に尽きます。

「『フレア・コースト』!」

 ましてや上級魔法……この世界でも使えるのは数えるほどしかいない威力の魔法となれば、その殺意は凄まじいものです。

 突如現れた巨大な炎に、ぽよぽよちゃんは丸ごと包み込まれてしまいました。

「――――!」

 炎に包まれたぽよぽよちゃん、ジタバタと暴れますが、どうにもなりません。炎の勢いは弱まらず、ぽよぽよちゃんは徐々に動きを鈍らせます。

 そして炎の中で、ぽよぽよちゃんの姿は少しずつ小さくなっていきました。

「えっ!? な、なんか普通に効いてる……?」

 どうやらセリーヌさん、まさか通用するとは思っていなかったようです。呆気に取られます。

 魔法の炎がぽよぽよちゃんを焼いたのは、ほんの二十秒ちょっと。ですがその二十秒で、ぽよぽよちゃんの姿はすっかり消え果てます。セリーヌさんが魔法を消しても、ぽよぽよちゃんの姿は見えません。

 代わりに、黒い塊が残るだけでした。

「……………」

 デュナミスさんは恐る恐る近付き、黒い塊を槍の先で突きます。塊は硬く、刺さる手応えはぐにぐにとしています。当然、動き出す気配などありません。

 安全を確保すると、今度はアンリさんとセリーヌさんが塊に近付きます。そして二人は手を、塊にかざしました。

 これは魔物の生死を確認しているのです。魔物の中には、致命的な傷を受けると、仮死状態になるモノがいます。中には心臓を止め、腐臭まで漂わせる猛者もいるほどです。

 そこでアンリさんとセリーヌさんは、魔法と奇跡の力を用いて生死を判別するのです。仮死状態はあくまで表面的な事象を捉えた結果に過ぎません。体液の循環や、魔力の流れを検知すれば、死んだふりを見抜けます。同時にこれは非常に危険な作業です……生死を確認すべく意識を集中しているので、例えば急に魔物が起き上がったなら、二人は不意を突かれる格好となるのです。勿論ロイさんやデュナミスさんが見張っていますが、それでも危険な事に変わりはありません。

 戦いの中で、一番緊張する瞬間……それは、アンリさんとセリーヌさんが、同時に安堵の息を吐いた事で終わりました。

 死亡確認。ぽよぽよちゃんだった塊は、如何なる生命活動もしていないと判明したのです。

「ふぅ。どうやら、本当に死んだらしいな」

「ああ……しかし、魔法以外が通じない魔物か。厄介だな」

「まさか浄化の光すら通じないなんて……私の力が至らないばかりに」

「今回は仕方ない。このような事態を想定していなかった俺の責任だ……それと、今後はセリーヌの力が一層必要になるな」

「ふ、ふふんっ。当然よね! なんてったって私、天才だから! 例え炎が効かなくても、まだ氷や雷、闇と光の魔法だってあるんだから! まっかせなさーい!」

「頼りにしてるぜ、天才さんよ」

 和気あいあいと、しかし戦いの復習は忘れずに、勇者達は勝利の余韻を噛み締めます。

 それから改めて、ぽよぽよちゃんだったモノを見ました。

「さて、この亡骸だが……どうしたものか」

「片付けるにしても、道にこびり付いちゃってるわね。ちょっと剣とか槍で剥がせない?」

「おいおい、勘弁してくれよ。石造りの床に擦り付けたら、武器が駄目になっちまう」

「でしたら、へら・・が必要になりますね。近くの民家、には人が居ませんから、宿屋まで戻りましょう」

「そうすっか……んぁ?」

 話をしていたところ、ぺこんっと小気味良い音がデュナミスさんの鎧から鳴ります。

 それは、雨粒がぶつかった音でした。

「っと、雨かよ。さっさと片付けて、宿に戻ろうぜ」

「そうだな。全員で行けばいっぺんに持ってこれるか」

「うわっ! 降ってきた降ってきた!」

 話している間にも、雨足はどんどん強くなります。如何に連戦連勝の勇者達でも、風邪には敵いません。全員が、そそくさとこの場を後にします。

 誰も居なくなった場を、雨音だけが満たします。ざあざあと音が鳴るほど強い雨は、辺りをびっしょりと濡らしました。当然ぽよぽよちゃんだった黒い塊も、雨に濡れてしまいます。

 するとどうでしょう。黒い塊の一部が、ぐにょぐにょと動き始めたのです。黒くなった表層部分はカサブタのように剥がれ、中にある文字通り青々とした中身を露呈させます。動く場所は段々と広がり、ついには全身に。

 そして全ての黒い表層を落とすと、青い中身はぽよんと跳ね、

「ぽっよー」

 ぽよぽよちゃん、復活です!

 実はぽよぽよちゃん、燃やされても死んでいませんでした。とはいえ、何かトリックを用いた訳でもありません。ぽよぽよちゃんは環境変化に適応しただけです。

 その名は『クリプトビオシス』。

 体組織の水分を抜き、自らの身体を乾燥状態にする事で厳しい環境に耐える形態です。言ってしまえば復活可能な干物なのですが、ただの乾物と侮るなかれ。百度を超える高温、マイナス二百度近い低温、人間なら即死する放射線、真空……いずれも、幾らかの時間制限はありますが耐える事が出来るのです。

 この能力も、食べ物が少なく、乾燥や高温が度々訪れる島の不安定な環境への適応で獲得したものでした。ちなみにクリプトビオシス状態の生物は、一切の生命活動が停止しています。呼吸どころか代謝もしていません。僅かな生命反応を検知するアンリさん達の方法では、ぽよぽよちゃんの生存は見抜けなかったのです。

「ぽっよ、ぽっよ、ぽっよっよー」

 蘇生したぽよぽよちゃん、身体をぐにゃんぐにゃんと動かします。一通り準備運動を終えると、ぷるるん、と震えました。

 そして、頭の真ん中から切れ目が入ります。

 切れ目はどんどん深くなり、ついには頭が裂けてしまいました。するとまるで傷を直すように、左右の頭から欠けた部分が生えてきす。切れ目が移動した胴体でも同じ事が起きていました。

 やがて切れ目はぽよぽよちゃんの足下まで行き、ぷっちんと音を立ててぽよぽよちゃんを真っ二つに。

 ぽよぽよちゃんは、ふたりになってしまいました。いえ、正確には、ぽよぽよちゃんと、ぽよぽよちゃんによく似た子、でしょうか。ちょっぴり顔付きが違います。目付きのキリッとした(比較的)凛々しいスライムさんです。

 これこそがぽよぽよちゃんの繁殖方法である分裂です。中身が溢れたり、クリプトビオシス状態から復帰時に皮膜の再構築をしたりで結構なエネルギーを消費しましたが……子供とはいえ人一人を食べたので、繁殖に十分なエネルギーは残っていました。

「ぽよ?」

「ぽよぽーよ」

「ぽよー? ぽっぽよー」

「ぽーよ、ぽーよ」

 ぽよぽよちゃん、分裂した自分とお話しします。やがてぽよぽよちゃんは分裂した相手を置いて歩き出しました。分裂した相手も、ぽよぽよちゃんとは反対方向に歩き出します。

 ぽよぽよちゃんは町の外を目指していました。

 分裂した相手は町の内を目指していました。

 ひとりは嫌な場所から逃れ、ひとりはこの場所で栄えるために――――

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