ミネルバの梟は放電後に降り立つ:第51話〜
自動運転の実現にむけて
直球そのままでひねりも何もないタイトルであるが、「自動運転がいつ実現するか?」というのは2018年現在、とてもホットな話題である。
私の個人的な印象では、自動運転は『実現できるか、できないか』ではなく『実現させる気があるのか、ないのか』と言う問題のように思えるのだが、「一般路上でのLevel-5の完全な実現は不可能」だと思っている人も割といるようだ。
これには技術的に不可能という意見だけでなく、技術があっても社会制度的に不可能だとする見方も含まれている。
もちろん簡単だとは言わないが、そんなはずはないだろうと思う。
いや正直に言えば、運転技術と集中力にたいして自信の無い私としては、一日も早く実現して貰わなくては困る。一日も早く、だ。
しかも老化は待ってくれない。
そもそも、本質的なAIの反応速度やセンシング能力は人間の比ではない。
複雑に絡み合った事象の認知能力では、まだまだ人間には及ばないので苦しいが、それも還元主義的に分解していくことで十分に対応可能だし、逆に言うと、もしシンギュラリティが実現するならば、自動運転が『実現できないはずがない』のだ。
これには、多くの説明は不要だと思う。
どんな「CAPTCHA」でも突破できるAIが、路上の物体が何か認識をできないはずがない。(無論、シンギュラリティが到来しなくても現在技術の延長で自動運転は実現できるが)
そしてシンギュラリティ後の自動運転AIは、瞬く間に人間よりもパフォーマンスが高くなる。
もうすでに、市販車においてもAT(オートマチック)の方が、燃費も走行性能そのものも、MT(マニュアルトランスミッション)を凌駕しつつある。自動車好きな人がMTを選ぶのは、その方が絶対性能が高いからではなく、その方が『楽しいから』だろう。
いまやF1ですらセミオートマチックなのは伊達ではない。
セミオートマチックやマニュアルモード付きATのシフト選択は電子制御で、ドライバーのやっていることは事実上「シフトタイミングの指示」のみである。
機械的なギヤの切替や、それに合わせた緻密なエンジンの回転数制御などは、全部コンピューターとアクチュエーターがやってくれるので、肉体的にはシフトレバーを操作していても、意味合い的にはボタンを押しているのと変わらない。
すでに、ほとんどの四輪自動車のエンジンは電子制御だ。古風なキャブレター付きエンジンの車など見たことも乗ったこともないという人の方が多いだろう
ドライバーがアクセルを踏んでも、それが、そのまま機械的に伝達されるわけではなく、踏み込み量を電気信号に変えてエンジンを制御しているコンピューターへ送られる。
さらに、そのコンピューターはエンジンの状態を最適化するために設定されている、パターンマップに合わせて複雑な制御を行う。
つまり、ドライバーが意識していなくても、上り坂か下り坂か、高速域か低速域かなどで、各種センサーの情報を元にコンピューターが選んでいるパターンが違えば、同じアクセルペダルの踏み込み量でもエンジンの反応は違うわけだ。
その延長で考えると、個人的には、完全自動運転実現後のモータースポーツ、特にF1のような大規模な研究開発を投入するレースでは、操作系に対する電子機器の使用を何らかの手段で、現在よりももっと厳しく制限する必要が出てくるのではないかと思う。
遠い将来には、優勝したチームをよく調査したら、実はドライバーは運転するフリをしていただけで、実際の制御はすべて裏でAIが行っていた、という事件さえ起きかねないだろう。(まあ、かなり未来の話だが)
そこまで行かなくても、アクセルやブレーキなどの自動制御がどこまで許されて、どこからNGかの線引きは難しそうに思える。
人間のドライバーがステアリングとシフトタイミングを制御していれば、後は全自動でもOKなのだろうか?
F1で開発した技術の市販車へのフィードバックなど、想像されているほどは期待できないのだから、いっそ「スポーツであること」にこだわって、一切の電子制御を禁止したキャブレター時代的なレギュレーションにしてしまう方が、よほどFomula-E(電動自動車でのレース)よりも未来の姿に近づけるかもしれない。
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< 自動運転の普及スピードはもちろん技術開発の進展に左右されるが、ある程度の完成度が実現した後は、すべからくコスト効果の問題になる。これについては、単に車両価格やインフラ投資だけの問題ではないので、いずれ改めて考えてみたい。>
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