第19話 初任務
あの後、ナツキさんからヴォルスらしきものが出現したと聞いた私達 女王直属部隊 はその村へ向かうことになった。
…つまり、私はいきなり初任務だ。
そこで、私は今そこへ出発するためにゲートの前に来ていた。
なんだか倉庫みたいな所で、飛行機みたいな大きい乗り物などがある。
…本当にこの家、広いな。
「本当に結希さんもいくの? 」
凄く心配そうな顔をしながら、見送りに来たソフィアさんはそう言う。
「はい。」
「ヴォルスがいるなら、力を引き出してくれる結希もいたほうがいいと思うんだ。」
大画面の通信モニターに映る旭がそう言う。
「でも…。」
「心配いらないわ、ソフィア。私達も一緒なんだから。」
『そうだよ! (ワン! )』
「うん…気をつけてね。」
ソフィアさんは不安気に私達を見ながらそう言った。
…確かに、ソフィアさんが心配するのも無理ないと思う。
訓練をしたとはいえ、私はまだ思うように力を使えない。
せいぜい、武器などに力を込めて威力を上げるくらいだ。
そんな私と今回一緒に任務に行くのは、光樹・雪奈・ライ・焔・雫・レミの5人と1匹。
「じゃあ、ゲートを開けるよ。」
旭さんがそう言うのと同時に、倉庫の出入り口が虹色に光る。
「そんじゃ行くか! 」
「待て! 焔! 」
「大丈夫よソフィア。すぐ戻ってくるから、美味しいものでも用意して待ってて。」
「…行ってくる。」
バチバチバチッ。
みんなそれぞれ、そんなことを言いながらゲートに入っていった。
『結希、抱っこして。(ワン! )』
「…えっ? 」
『私、小さいから誰かに抱っこしてもらわないといけないんだ。(ワン。)』
「あ…そうなんだ。」
そう言いながら、私はレミを抱き上げる。
その腕はさっきから震えていて、震えはおさまりそうにない。
『結希? (クゥン? )』
腕の震えに気づいたレミが、私を見上げながらそう言う。
…今更だけど、やっぱり恐い。
君は凄い力を持っているんだとか言われても全然しっくりこないし、みんなの力を引き出すなんて出来ないような気がする。
そんなことを考えて、私が立ち止まっていると。
「結希。」
ゲートに入ろうとしていた光樹が、そう言いながら私の所に戻ってきた。
「恐い? 」
私の前で立ち止まり、心配そうな顔をして光樹はそう聞く。
「うん。…あ、でも分かってるから! 私も行った方がいいんだよね! 」
…今更行かないなんて言ったら、多分みんなが困ってしまうだろう。
「…大丈夫。」
そう言って、光樹は私の手を取る。
突然のことだったので、私は危うくレミを落としそうになる。
「あっ…えっ? 」
「僕が絶対、守るから。」
光樹は微笑みながらそう言って、私の手を引っ張った。
「行ってらっしゃい、気をつけてね。」
そう言うソフィアさんの言葉を聞きながら、私は光樹と一緒にゲートへ入ったのだった。
ーーーーーーーーーーーー
ドーン!
「タ、タツキ様! 突然現れた正体不明の奴等によって、我々の仲間が次々と殺られています! 」
…どうやら、ようやく姫様が来たようですね。
「…その中に姫様がいるはずです。私が言ったことは覚えていますね? 」
「は、はい! 光属性の宝玉を持った女、つまり姫様を捕まえろと…。」
「分かっているのでしたら、行動に移しましょうか。」
焦りながら話すヴォルスに私は微笑みながらそう話す。
「は、はい! 」
そう言って、そのヴォルスは自分の持ち場にかえって行った。
「…歓迎しますよ、姫様。」
[つづく]
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