第8話 自己紹介

数分後、部屋に集まったのは私を含めて計12人の男女…と、1匹。


その中には、焔さんや焔さんを引きずって行った女の人、そして、私を砲撃から助けてくれた、あの男の人もいた。


「じゃあ、みんな集まったみたいだし、自己紹介でもしようか。」


「はぁ!? 」


「さっさと説明しなさいよ。」


「この子の警戒心を解くためだ。それに、この子のことも知りたい。」


椅子に座っている私に微笑みかけながら男の人はそう言う。



……てか、私だけ座ってていいのかな…。



「はぁ…、分かった。取り合えず、焔と私とレミはもう終わってるから、旭からだな。」

雫さんがそう言うと同時に、その場にいる12人と1匹全員が男の人を見る。


「え…。」


「そうね、旭が言い出したんだから、旭から始めるべきね。ほら、早く! 」


まさか自分が始めになるとは夢にも思わなかったのだろう。


戸惑いを隠せない男の人を女の人が急かす。


「…えーっと、あさひです。なんかこう…セキュリティとか、いろいろ管理してます。よろしく。」


頭の後ろを掻き、少しはにかみながら、旭さんはそう言った。


「じゃあ、次は私。雪奈よ。主に治療を担当しているわ。よろしくね。」


雪奈さんは微笑みながらそう言う。


…さっき焔さんを引きずって行ったのも治療の為なんだろうか。

そういえば、焔さんが、注射が嫌だとか言ってたような気がする。


「はい! はい、はい! 次、俺とライ! 俺は星太せいた! よろしくね! ほら、ライも! 」


星太さんは私の手を握り、満面の笑みで握っている手をブンブン振りながらそう言う。


「ライだ。よろしく。」


それと対照的に、ライさんは星太さんの後ろで二言だけ発する。


2人とも金髪だが、星太さんは短めで、ライさんはハーフアップが出来るくらい長く、何から何まで対照的な2人だと思った。


「それじゃあ、次は私達。私はソフィアでこっちが妹の━。」


「モカだよ♪ よろしくっ♪ 妹って言っても血はつながってないけどね〜♪ 」


「もう! そういうことはいいのよ! よろしくね。」


モカさんは楽しそうに笑いながら、ソフィアさんは困ったように笑いながらそう言った。


肩より少し長い黒髪を頭の左下でまとめているソフィアさんは、いかにもお姉さんって感じだ。


妹のモカさんは、長い黒髪を縦ロールのツインテールにしていて、まるでお人形さんみたいだと思った。


「では、次は私だな。理那りなだ。よろしくな! 」


目立つ八重歯を見せ、にっと笑いながら、理那さんは言った。


肩より少し長い赤髪を右側でサイドアップにしている。


「次は俺だな。」


そう言った男の人は、私の前にしゃがみこみ、私の手を取って手の甲に軽く口づけをした。



……え?



咲夜さくやだ。よろしくな。それにしても君、かわいい゛っ! 」


私の手を取ったまま自己紹介をする咲夜さんの頭に、勢いのついたチョップがはいる。



ガシッ。



チョップをいれた女の人が、痛くて頭を抱えている咲夜さんを掴む。


そして私を見て、


「…私は睦月むつき。よろしく。…あ、手は後でよく洗って。」


そう言い、咲夜さんを引きずって私から離れた所へ行ってしまった。


腰の辺りまである長い黒髪がとても綺麗だと思った。


咲夜さんの髪は少し長めでオレンジ色だった。


行動にも驚いたが、その髪の色にも驚いた。


「じゃあ、最後は僕だね。」



体のあちこちに包帯を巻いた、あの男の人が前に出る。


「僕は光樹こうき。よろしく。あと、君を危険な目に遭わせてごめんね。」


申し訳なさそうに、光樹さんは言う。


この人、思ってるより危険な人ではないのかもしれない。


「まだ最後じゃないでしょ。この子にも自己紹介してもらわないと。」


雪奈さんは私を見ながらそう言う。


「そうだね。あ、君のことをよく知るために、年齢とか詳しく教えて。」


この場にいる全員の視線が私に集まる。


「え、えーっと…姫川結希です。

15歳で高校1年生です。祖母の蔵で掃除してたら、なぜかあそこにいました。あの…ここはどこなんですか? 私、帰らないと…。

あと、私の首飾り知りませんか? 」


自己紹介なのに質問が多い私の発言を聞いたみんなの視線は、今度は旭さんへと集まる。


「お前の出番だぞ。旭。」


雫さんが旭さんを促す。


「うーん…。何から説明したらいいのかなー。取り合えず、ちょっと待って。今、準備するから。あ、これは返しとくね。」


そう言って旭さんは私にあの首飾りを渡し、手元のキーボードをいじりはじめた。


[つづく]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る