第7話 ゲームと理系男子


ピューン、ピューン。



2人と一緒に訪れた部屋にいたのは、大画面でスーパーマリ○ブラザースみたいなゲームを夢中でやっている男の人。


こちらに気づいている様子はない。


「旭! 例の子を連れてきたぞ! 」


ゲームに夢中な男の人に、雫さんは叫ぶ。



ピューン、ピューン。



男の人に、気づいた様子は全くない。


「おい旭! 」


レミ)『旭ってば! (ワン! )』


「んー。」



ピューン。



2度目の呼び掛けに反応を示したものの、相変わらず、こちらを振り向こうとせず、ゲームに夢中な男の人。


「例の子を連れてきたぞ! 」


「んーー。」


「おい! 」


「んー。」



「おい…。」


雫さんがわなわなと震えだす。


気のせいか、黒いオーラのようなものが出てるような…。


『し、雫! 落ち着いて! ね? (ワ、ワン! )』



デデーン。



敗北感溢れる音と共に、画面に映るゲームオーバーの文字。


やっと会話が出来そうだ。


次の画面には、コンティニューしますか? と映る。


男の人は即効でYESを選ぶ。



……あれ?




ピューン、ピューン。



ゲームを再開する男の人。


「おい…。」



ピューン、ピューン。



やはり、こちらに気づく様子はない。



ブチッ。



ん? 今、何かが切れる音がしたような…。



グシャっ。ブン…。



「え…。」


男の人のゲーム機らしき物にくないが刺さり、画面が真っ暗になる。



「なんで…あ! 壊れてる!? くないってことは…。」


「おい。」


動揺している男の人に、雫さんが低い声で呼び掛ける。


男の人が、恐る恐るこちらを振り返る。


「はい…。」


短い濃いめの茶髪に細い黒ぶち眼鏡。


まさに理系男子、という感じの人だ。


「さっきから何回も呼んでるんだが。」


冷たい目で雫さんは言う。


「ご、ごめん! 気づかなかった! 何だい? 」


「貴様が連れてこいと言ったから、連れてきたんだろうが。

さっさとこの子の疑問を解決してやれ。」


「ああ! そうか、起きたのか! よかった。俺もその子に聞きたいことがあったんだ。

でも、もう少し待ってくれ。みんなを呼んでから話すから。」


「? なぜだ? 」


「多分、その子のことは、俺ら全員に関係あることだからだよ。」


[つづく]

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