第4話出逢い2
「何だったんだ…一体…。」
自分が今、戦った相手は人ではなかった。
女王様の命令で戦争の加勢に来たから、敵国の軍人なら服で分かる。
しかし、あいつは体は昆虫のようだったし、腕なんか、剣のようになっていた。
まるで化け物だ。
それとあの子…。
ズダダダダダダ!
僕の考え事を遮るように、背後から攻撃される。
「おや、残念。」
反応が少し遅れ、ぼくは少し傷を負った。
「カシューと同様に体を貫いて欲しかったのですが。」
鳥のような羽で飛んでいる相手は、あの子を抱えている。
あの子は気を失っているようだ。
「その子をどうする気だ。」
僕は空中の相手を睨み付けながら言う。
「ある方に連れてこいと言われたので連れていくだけです。その後のことは知りませんよ。」
相手は淡々と答える。
「カシューは失敗しましたが、いい囮になってくれました。あなたがカシューに気を取られている間にこうも簡単に彼女を手に入れられるなんて。結構チョロいんですね。女王直属部隊って。」
からかうように笑いながら相手は続ける。
カシューとはどうやら、さっきの奴の名前らしい。
「お前達は何者なんだ! 人ではないようだし、それになぜ、僕が女王直属部隊だってことを知っているんだ! 」
何とかしてあの子を取り返さなければ。
そんな事を考えながら、僕は話す。
「さて、何者でしょう? 情報は全て、あの方から頂いたものですよ。あの方には何もかもお見通しなのです。」
また、からかうように笑いながら相手は答える。
「では、そろそろ。」
相手の羽が大きく動く。
ここを去ろうとしている!
「待て…っ! 」
傷が痛み、思うように体が動かない。
このままではあの子を拐われてしまう。
何か…何か手は━。
「燃えろぉぉぉ! 」
聞こえた仲間の声と共に、相手に炎が放たれる。
「ぐあぁぁぁぁぁ! 」
相手の体が炎に包まれ、燃える。
「また怪我してる! いつも言ってるでしょ! 無傷で帰って来いって! 仕事増やさないでよね! 」
「ご、ごめん…。」
雪菜の迫力に負けて、思わず僕は謝る。
「それで、あの子がそうなの? 」
雫が抱えているあの子を見ながら、雪菜は聞く。
「うん。」
「ふーん。まあ、とりあえず一緒に連れて帰って、旭に調べてもらったほうがよさそうね。」
帰る という単語を聞いて僕は驚く。
「帰る!? 戦争の加勢は!? 」
「戦争は終わったわ。私達の国が勝ったわよ。」
複雑な表情をしながら、そう、雪菜は言った。
[つづく]
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