第3話出逢い


ドオォォン!



大砲が私に向かって撃たれた。


同時に、私の体は何かに包まれ、宙に浮いた。



ビュオォォ…



風の音と、どんどん上にあがっていく感覚。



ビュオォォ…ザッ。



突然、それは終わった。


私は、目をあけてみた。


……私は、知らない男の人に抱きかかえられていた。


彼が私の視線に気づく。


「もう大丈夫だよ。ケガはない? 」


私に微笑みながら、彼はそう問う。


私が頷くと、


「よかった。でも君、どうしてあんな所にいたんだい? 」


そう、さらに彼は問う。


そんなこと、私が知りたい。


「…まあいいや。」彼は、黙ったままの私を見て、諦めたように笑いながら私をおろして、そう言った。


「ん!? それ…。」


私の首飾りを見て彼は目を丸くする。


「それ、君の? 」


そう、彼に問われる。


まあ、今は私のなので、とりあえず頷く。


「ふーん…。確かこれって…とりあえず、呼んでみるか。」


彼はぶつぶつと呟いて、右耳に手をあてる。


どうやら、仲間と連絡をとっているようだ。


「みんな、聞こえるかい? 実は━。」


私はこれからどうしたらいいのだろう。


いろんな事がおこりすぎて、頭が整理出来ない。


「━うん。今? 今は━。」もやもやしていたその時、ゾワッ と右方向から寒気のようなものを感じる。


その方向を恐る恐る見てみると、何かが迫ってきている。


さっきの人達かもしれない。


「━えっ? いない!? いや、だからそっちじゃなくて━。」


彼は気づいていない。


「━そう、そこをまっすぐ行って━。」


何かが近づいてくる。


さっきの人達じゃない。


てか、あれ、人?


「━うん、うん。わかった。」


彼は話し終わったようだ。


私はすかさず、彼の服を引っ張る。


「ん? 何? どうしたの? 」


彼は笑顔で私に問いかける。


何だか不安だ。


「あれ…。」


私が寒気を感じた方を指差す。


その方向を見た瞬間、彼の顔色が変わった。


いや、私も変わっていた。


何かがもう、すぐそこまできていた。


「さがって! 」


彼は私を庇うように立つ。


「その女、よこせぇぇぇぇ! 」

こっちに向かってきている何かが叫ぶ。


どうやら、目的は私らしい。


…え?


「そういう訳にはいかない! 」


彼がそう言うと同時に、彼の胸の辺りから、緑色の光が溢れる。


その時気がついたけど、彼の髪もエメラルド色に光っていた。


腰には剣を帯びている。


彼がその剣を抜く。



ガキィィィン!



彼の剣と相手の剣…じゃなくて、剣のような腕?が火花を散らす。


「よこせぇぇぇぇ! 」


「なんなんだ! お前! 」


彼が相手を押し飛ばす。


「ぐぁ! 」


すぐさま、彼は私の方を振り返り、


「ちょっとごめんね。」


そう言いながら、軽く右足で地面を踏む。


彼の胸の辺りで、緑色の宝玉が光っていた。



ズズズズ…



私の周りに木の棒のようなものが生えてくる。


「えっ!? 何!? 」


そんな事を言っている間にも、木の棒はどんどんのびつづけ、ついには鳥かごのような形になり、私は中に閉じ込められた。


「何これ!? どういうこと!? 」

理解不能だ。


木の棒が生えてくるなんてあり得ない。



「ごめんね。終わったら出してあげるから。」


彼は微笑みながらそう言って前を向く。


「女よこせぇぇぇ! 」


さっき押し飛ばされた相手が再び起きあがる。


彼は剣を振り上げた。


振り上げた剣がエメラルド色に光る。


「よこせぇぇぇ! 」


相手は一直線にこっちに向かってくる。


「つらぬけ! 」


そう言うと同時に、彼は剣を振り下ろした。


するどい無数の緑色の光が相手に向かって飛んでゆく。


「ぐぁ! 」


そのうちの殆どが、相手にあたる。



ザッ━。



そして、彼は一歩踏み出したかと思うと、あっという間に相手の所まで飛んでいき、相手にとどめをさした。

もしかしたら、この人も危ない人かもしれない。


ふと、そんな考えがよぎる。



ドスッ…



次の瞬間、突然、首の辺りに強い衝撃がしたかと思うと、私は、意識を失った。


[つづく]

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