第二章①
目を覚ますと、目の前には乳があった。
どこに出しても恥ずかしくないその巨乳は、その大きさとは裏腹に美しさも兼ね備えていた。つまりそれは、巨乳でありながら美乳だった。
その矛盾を内包する二つのふくらみは、たった一枚の布に包み込まれている。
その布とは、エプロンだ。
純白のそれは、フリルのリボンが付いた可愛らしいデザインとなっている。
着ている相手から真正面で向かい合えば、下半身はミニスカートをはいているようにも見え、上半身は大きなハート型をしていることが分かるはずだ。
「おはようなのじゃ。コーイチ」
俺に声をかけたのは、巨にして美を兼ねそろえた二つのモノを持つ裸エプロン姿の悪魔、モロだった。
透明なベットの上に寝転んでいるかのように、空中でモロがくつろいでいる。
「……おはよーさん」
俺は挨拶を返しながら、俺の寝ているベットの上に向き合うように浮遊しているモロに問いかけた。
「つーか、何で術使って浮いてんの?」
しかも、わざと自分の乳だけ術の範囲対象外にしているようだ。
重力に逆らうことなくぶら下げられている二つの乳房は、もうあと数センチで俺の顔に触れそうになっている。
「たまにはこういう起こし方もオツであろぅ?」
何言ってんだコイツ……。
まぁいい。ひとまずモロを俺の上からどけよう。
「なぁモロ。そろそろどいてくんね?」
「何故じゃ?」
「……このまま起き上がったら俺の顔、モロの谷間に思いっきり突っ込むことになるぞ?」
「それの何がいけないのじゃ? 御主もいい加減諦めて、ズバッと妾の胸に顔をうずめるがいい、ズバッとっ!」
中々起き上がろうとしない俺を、モロがニヤニヤしながら見つめている。うざい。
……少しいじめてやるか。
俺はそっと体を動かし、自分の顔をモロの顔の真下に移動させる。
「そうじゃなぁ。それが出来ないと言うのなら、わ、妾に接吻したらどいてやらんことも、」
ちゅ。
「ほわぁぁぁあああああ! ほわぁぁぁああああああ!」
俺にキスされ動揺したのか、術を解除したモロが手足をばたつかせながら俺の上に降ってきて、結局俺はモロの谷間に顔をうずめることとなった。
その後モロはベットから奇声を上げつつ転げ落ち、今はポニーテールにしている頭を押さえながら、俺のほうを涙目で睨み付けている。
「ば、バカモノ! バカッ! アホッ! 急にするでないわっ! わわわ、妾の、こ、心の準備が出来ておらんであろうがっ!」
自分がしろと言ったくせに、何をそんなに驚いているんだか。
ちなみに俺は、頬っぺたにキスをするなんて中途半端なことはしていない。バッチリ口に、マウストゥマウスでキスをした。
その後モロは、はっと何かに気が付いたような表情を浮かべると、奇声を上げながら俺の部屋を出て行く。
「そ、そうじゃ赤飯! 今日は赤飯じゃ! 赤子が生まれるぞー!」
生まれねーよ!
ひとまず俺も部屋を出ることにした。
赤飯ではなく、普通の朝食をとるために。
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