少年


少年と呼ばれていたあの日が、

遠い出来事に思える。


人生の酸いも甘いも味わった。

希望に満ちて純粋だったあの陰は、

もう微塵もない。


少年から青年。

そして壮年を経て中年へ。


失った輝きと引き替えに、

使い込まれた革製品のような

円熟味が増していると信じたい。


人生も折り返しを過ぎて、

衰えを感じることが増えた。


残された時間が少なくなってゆくことに

焦りを覚える日々。


やり残していること、

やるべきことは何だ。

向かうべき場所はどこにある。


ここから先の時間は過ぎ去るわけじゃない。

ゆっくりと確実に、削り取られてゆくんだ。


誰もが抱える命の砂時計。

その砂を、死神から守るための戦いだ。


牙を剥き、爪を立てろ。

生きる意味を歴史へ刻め。

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