まるで怪物を見るような


 ハロウィンだと騒ぎ立て、

 怪物の姿へ扮した

 若者たちが街に溢れている。


「元々は秋の収穫を祝うものだ。

 悪魔払いの意味を含んだ

 宗教的な行事なのに」


 足下でのたうつ様を見ていたら、

 気分が高揚してきた。


「それを勝手に祭りへ仕立て、

 どいつもこいつも馬鹿騒ぎ。

 いい迷惑だと思わないか?」


 私の話に共感してくれたのか、

 足下の男はしきりに頷く。


 だが、私の心には

 不満だけが膨れ上がっている。


 今にもこの体を突き破りそうな、

 押さえようのない怒り。


「ならば、

 どうして君は仮装姿で泥酔している?

 どうして我が家の玄関先で嘔吐した?」


「ごめんなさい。許してください」


 まるで怪物を見るような表情が不快だ。

 それを目掛け、手にした包丁を振るう。

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