はやい
早い。安い。うまい。
そんな三拍子が謳い文句のこの店で、
今夜もひとり、牛丼を食べる。
家族揃って食卓を囲む。
そんなものは一昔前の風景だ。
いつも顔を合わせるこの店の店員こそ、
俺の家族なんじゃないだろうか。
みんなで食べる食事。
理想的だとは思うけれど、
俺にとっての現実はこれだ。
中小企業なんて、所詮そんなもの。
休日にしか使わない食器。
休日にしか座らないソファ。
家族団欒という言葉が
異国の言語に聞こえる。
何が楽しくて生きているのか。
ひとりで夕食を食べる時には
ついそんなことを考えてしまう。
それもこれも家族のため。
この日常を守るため。
強く自分に言い聞かせ、
明日を乗り切る力に変える。
そうして今夜も、牛丼を掻き込む。
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