夕日


 燃えるような夕日が

 ゆっくりと水平線へ飲み込まれてゆく。


 今日も全てをやり切ったという顔を

 まざまざと見せつけられているようで。


「このやろう」


 悪態が口をつくと同時に、

 お気に入りのことわざが頭を過ぎる。


「晴天を褒めるには日没を待て」


 晴れていたからといっても、

 夕方にならなければ

 その日の天気はわからない。

 人の幸も死ぬまではなんともいえない

 ということらしい。


 その日、その日を大切にしたい。


 眼前の夕日に負けないくらい

 常に全力でありたいと願う。


 言うなれば、あいつはライバルだ。

 いつも上から見下ろしてくるあいつ。

 その吠え面を拝める日はくるだろうか。


「今に見てろよ」


 そうして私は気合いを入れ直し、

 明日への力を奮い起こすのだ。

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