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緑川について行くと放課後の教室に一人、外を眺める少年がいた。
……あれ、中学生?
「あの一見中学生くらいに見える人がここのクラスの担任、黒崎先生ですよ。ちなみに年齢は二十七、身長は……」
「だぁっ、聞こえてるぞそこっ!!」
ひそひそとも言えない堂々とした内緒話に黒崎先生が反応した。
「って、なんだお前ら?……勉強でわからないとこでもあるのか?」
「先生! 先生の中には正義に燃える熱い魂がありますか!?」
「…………へ?」
黒崎先生は目を点にし、俺と黄瀬はずっこけた。
このおバカ、いきなりそんな勧誘するヤツがあるか。
「……このおバカ、いきなりそんな勧誘するヤツがあるかっ!!」
「しっかり思った上で改めて口に出しましたね」
「協力するつもりなんかないけどさすがにこれは言わせて貰うぞ! いいか赤井、そこ座れ!」
言われるまま床に座る赤井に俺は説教を始めた。
「同好会に顧問が必要ならまず活動内容とかそういう話をしなきゃいけないだろ?」
「はい」
「いきなりあんな事言っても先生には何も伝わらないだろ」
「……わかった」
やたら素直に頷いてるけどコイツわかってんのか?
「わかったらはい、やり直し!」
「はーい」
赤井は説教が終わると立ち上がり、黒崎先生の目の前まで歩み寄った。
赤井から見てもだいぶちっちゃいな、先生。
「……な、なんだ?」
「ヒーロー同好会、部長の赤井です。我々の活動は校内美化やボランティアを主にしています。最近発足したばかりで顧問がいなく、活動の幅がどうしても限られてしまいます」
おお、やれば出来るじゃないか。
「ですから、その、えーと………………正義の声が聞こえますかー!?」
あ、ダメだ壊れた。
赤井にしては頑張ったと思うが。
「えーと……うん、なんとなくわかった。確かに校外でそういう活動をするなら引率者がいた方がいいもんな」
「さっすが先生、話が早い☆」
「最近校内のゴミが減ったな、とは思っていたんだ。お前らだったんだな」
クス、と笑う黒崎先生は何だかんだでやっぱり大人だと思った。
「そういう事なら、俺で良ければ」
「マジかよ!?……け、けど先生、コイツらに振り回されたら……断るんなら今のうちだぞ!」
と、黄瀬が黒崎先生に詰め寄る。
この二人だとすごい身長差だな……威圧感に負けて先生がちょっと引いてる。
そこに。
「先生を苛めるなぁぁあああ!!」
「ぐはっ!?」
すかさず駆け寄って飛び蹴りをかます謎の影。
吹っ飛んだ黄瀬を見下ろすのは、
「テメェ何黒崎先生に手ェ出してんだ、あぁ?」
「し、銀っ!」
金城と同様にピアスとかしてるけど明らかに違う種類の、本物の凄味をもった……
……って、銀?
「じゃあ六人目の候補って……」
「黒崎先生のクラスの生徒ですよ」
ああ、だから一石二鳥ってか。
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