んで、朱堂達も帰っていった翌日、早速俺達は六人目と顧問とやらを探す事になった訳だが……


「前々から六人目には目星をつけてありますよ」


 とは腹黒参謀、緑川の言葉。


「一話目の最後の一発ネタで出てきた銀と書いてしろがねっていう転入生だね♪」

「メタ発言はやめろ桜庭。んで、そんな最初の方に出てきておいて未だに加入してないのはなんでなんだ?」


 そう尋ねると緑川は眼鏡をキラリと光らせた。


「それはぶっちゃけ登場の予定がなかっ……いえ、彼には少々問題がありまして」


 ああ、登場の予定はなかった訳か。


 しかしそっちは一応口には出さない。話が進まないから。


「問題って何だよ?」

「まず彼は僕達よりひとつ年上ですが学年は同じ。理由は喧嘩による停学で単位が足りなかったからとか」


 うわぁ、また俺達とは無縁そうなヤツだなぁ……

 向こうの金城とかいうヤツも相当だったけど。


「ヒーロー同好会でボランティア、なんて結び付かねーヤツだな」

「黄瀬みたいな見た目だけ怖い人じゃなくてガチだもんねぇ」

「う、うるせぇ!!」


 見た目の怖さがコンプレックスなのか黄瀬はもう涙目だ。


「……でも、そんなヤツをこんな同好会に勧誘なんて、うまくいくのか?」

「考えるよりまず本人を見に行くぞ! もしかしたら心の内には正義の魂が熱く燃えているかもしれない!!」

「いくらお前でもやめておけ。シャレにならないかもしれないぞ」


 冗談の通じる相手ならいいが、そうでなければ殴られてもおかしくない。

 何せ「ヒーローにならないか?」だもんな。

 良くて白い目で見られて変人のレッテルを貼られて金輪際関わり合いにならないとかそんな感じだ。つーか俺もそうしたかった。


「そこは赤井さんの幼馴染だった貴方の不運ですよ」


 当たり前みたいに緑川にモノローグを読まれて悲しくなった。


「けどいきなり会いに行くのは危険だ。それはお前もわかるな?」

「ええ、僕もリスクの高い行動はあまり好みません。ですから……」

「……ですから?」


 緑川はその内に秘めた魔王の如く黒い心を微塵も感じさせない爽やか笑顔で、


「まずは顧問から当たりましょう♪」


 そう言った。


「ああ、それもそうか。そっちから行ってもいいもんな」

「うまくいけば一石二鳥かもしれませんし」


 一石二鳥?


「顧問の方もチェック済みですよ。名前に色名が入っている先生で顧問をやっていない、ピッタリな方がいます」

「よし、まずはその先生の所に行くぞ緑川! さぁ案内しろ!」

「了解しましたよ、リーダー♪」


 緑川を戦闘に嬉々としてついて行く赤井と桜庭。


 でも、これって……


「新たな犠牲者が増える、って事だよな……」

「ああ、とうとう先生にまで……」


 罪悪感で胸をいっぱいにしつつ、俺と黄瀬は三人の後を追って行った。

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