最後に残ったのは、いろんな意味で同レベルな二人のリーダー。


「クックックッ、ブレイブ……レェェェッド! 朱堂蛮、参上ォォォォォ!!」


 いやずっと前から参上してただろ。


「主役は最後にやって来る! ジャスティスレッド! 赤井翼……見・参っ!!」


 あぁ、全力で他人のフリしたい。

 けど最後まで付き合わないとコイツ後で拗ねるんだよなぁ……


「で、どんな対決すんの?」

「リーダーとしての素養……とかですか?」


 桜庭と桃井が尋ねればレッド達が振り向いた。


「リーダーの素養ォ?……ククッ、決まっているだろうが」

「戦隊のリーダーに必要なもの、それは……」

「「必殺技の絶叫だぁ!!」」


 ばばーん。

 言い切った二人は実に清々しい表情をしている。


「……えぇー」


 あまりの馬鹿馬鹿しさにツッコミが出遅れた。


「悪の怪人にトドメを刺す時、必殺技の名前を叫ぶはリーダーが役目!」

「……そう、魂の必殺技を激しく、強く、声高に叫ばねば敵は倒せぬのだァ!」


 がしっ。


「「お前、なかなかわかってるじゃないか!!」」


 あれ、なんか意気投合しちゃった。

 二人は激戦の中、敵味方を超えて認め合った……らしい。


「ますます戦うのが楽しみだなぁ……赤井翼ァ!」

「朱堂君、頑張って……」


 恋する乙女の祈りを受けて、朱堂が身構える。


「むー、ずるいぞ!……青野~俺にも"頑張って☆"って……」

「誰が言うかぁっ!!」


 せめて桜庭で我慢しときなさい。


「……けち」


 赤井は少々不満そうにしながらも朱堂に立ち向かう。


「ではいくぞォ! ブレイブぅぅぅぅぅファントムっ!!」

「ジャァスティスゥゥゥゥトルネェェェェェェドっ!!」


 あー、やかましい。



……そんなリーダー二人の絶叫対決は、果てしなく続いた。


 その間、俺達はというと……


「…………菓子、作ってきた……」

「山吹さんのお菓子美味しいんだよ、ほら黄瀬さ~ん♪」

「わっ……わかったからそっちのチビは近寄るなっ!!」


 とまぁ、平和で穏やかなひとときを過ごすのだった。


「「って無視するなァァァ!!」」

「あ、終わったか?」


 なんか静かになったと思ったら、レッド二人が俺達の団欒に乱入してきた。


「オレ達を無視して和んでんじゃねェェ!」


 あれ、朱堂泣いてる。


「そ、そうだぞ! これから夕日の中『お前、やるな』『お前こそ』と互いを認め合い、友情が芽生える感動のラストが……」


 いつの時代の青春モノだ。

 基本的に構って貰えないと拗ねるんだな、コイツら。


「……んで、肝心の勝負の結果は?」

「「無論、引き分けだ!」」


 というか、勝負の結果もどうでも良くなったか。

 全く、騒ぐだけ騒いでおいて……


「……散らかした所はちゃんと片付けておけよ」


 ドッと疲れが出た俺は、もうツッ込む気も失せてしまった。

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