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今回の話は、そんな平和な日々を送っていた時のこと。
「赤井翼ァ! オレとぉぉぉぉっ勝ー負だぁぁぁぁぁっ!!」
などと、まるで必殺技でも叫ぶかのような声から始まった。
えーと……うん、この時点で嫌な予感しかしていなかった。
「誰だっ!?」
俺達が振り向くと、そこにはこの学校のものではない制服を着た五人組が。
「クククククッ……オレの名は朱堂蛮! ブレイブぅぅぅぅぅレッドぉぉぉぉっ!!」
じゃきーん。
「ブレイブブルー、藍原迅」
きゅぴーん。
「ブ……ブレイブピンク、桃井凜っ」
しゃらーん。
「ブレイブイエロー………………山吹賛」
ぴきーん。
「ブレイブグリーン、若草弾っ!」
しゃきーん。
五人は次々に名乗り、ポーズを決める。
「「五人揃って!」」
「ブレイブぅぅぅぅぅVっ!!」
ちゅっどぉぉぉぉぉん。
……なんて学校内で爆薬が使える訳もなく、爆発音は朱堂が口で担当した。
「「全力で関わり合いたくない連中だぁぁぁ!!」」
と、俺と黄瀬が思わずハモる。
「赤井翼、そしてジャスティスファイブ! オレ達とぉぉぉぉっ勝負だァ!!」
いや朱堂さんそれさっき聞いたって。
「なんだお前らは! カッコいいなそれ、俺達もやろう!!」
「誰がやるかっ!……つーかポイントずれてるぞ赤井」
ヒーローに憧れる赤井には朱堂達の登場シーンが羨ましかったらしい。
俺はいつでも楽しそうなお前が羨ましいが。
「えーと、君達だぁれ? ウチの学校の生徒じゃないよね」
「あ……はい。隣りの学校のヒーロー同好会です」
桜庭の問いに答えたのは控え目な印象の桃井、と名乗った女の子。
……ああ、あっちはちゃんとピンクが女の子なんだ……
「ってヒーロー同好会!?」
「そんなアホな集団が余所の学校にもいるのか!?」
「ひっ」
驚く俺達だったが、桃井もビクリと肩を竦ませた。
「ダメですよ黄瀬さん、ただでさえ怖い顔の貴方が急に大きな声を出したら女の子が可哀相です」
「うぐ……す、すまねぇ……」
さり気に毒を吐く緑川だが、それにも気付かず黄瀬は申し訳なさそうに縮こまった。
「ヒーロー同好会は俺達だ! このまねっこめー!!」
「まねっこだとぉぅ!? 貴様らこそまねっこだ馬鹿めが! ヒーロー同好会作ったのはオレ達が先ー!!」
「馬鹿って言った方が馬鹿だ! それにヒーロー同好会は俺達の方が先に作ったんだぞ!?」
「いいやこっちが先だもんねぇぇぇっ!」
「じゃあいつだ! 何時何分何秒地球が何回回った時ー!!」
なんかレッド二人が今時小学生でもやらないような言い争いをしてるぞ。
「……頭痛くなってきた」
「あぁ、とりあえず頭痛薬と胃薬は用意しといたから……どっちがいい?」
「青野……準備いいな」
そりゃ準備も良くなるさ。
「お互い大変だね~」
「見ている分にはなかなか楽しいですけどね」
ってこら、そこの腹黒グリーン。
緑川は向こうのグリーン、若草と傍観モードで緑茶を啜っている。
「せめてツッコミ要員が増えればなぁ……」
「フ……我々にそれを求めるな」
無駄にニヒルな向こうのブルー、藍原は二枚目スマイルで言い切った。
そこで威張られても困るな……
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