学園戦隊ジャスティスファイブ・S!

 学園戦隊ジャスティスファイブ……それは、学園の平和を守るため結成された正義のヒーローである……というのはリーダーの赤井談。

 しかし普通の学校に正義の味方を必要とするような事態が迫っている訳でもなく、ましてや学園征服を企む悪の組織など存在しない訳で。

『ヒーロー同好会』はボランティア活動を主とした、地道な善行を積む集団となった。


……そして。


「きょーぉもげーんきだジャスティスファイブー♪」


 と、実に楽しそうに校庭の掃除をするのは本来戦隊物なら紅一点であるべき"ピンク"……桜庭望。

 歌に合わせてリズミカルに箒を動かしているが、それほど掃除は捗っていない。


「こうして見ていると女の子みたいなんだがなぁ……」

「ほぇ?……青野君、何か言った?」

「……いいや、何でも」


 いくらきゃぴきゃぴと可愛らしい仕草や仕草でも、この学校は男子校。コイツも紛れもない男。

……いい加減慣れようぜ、俺。


「へんなのー」

「彼はいつでも変ですよ」

「今ものすごく人聞きの悪い事言ったか?」


 さぁ、何の事でしょう?……なんて白々しく指先で眼鏡を押し上げるのは穏やかな微笑に騙されちゃいけない腹黒"グリーン"緑川護。

 少し高い位置からにこやかにみんなを見下ろしている。


「つーかお前、掃除サボって……」

「僕は直接動くのは性に合わなくて……ほら黄瀬さん、そこにガラスの破片が落ちてますよ~全く、手際が悪いですねぇ」

「とか言ってねぇでテメェも動け!!」


 先程から緑川に苛められているのが弄られキャラで苦労人その2"イエロー"黄瀬勇。

 黄瀬は殆ど巻き込まれる形でジャスティスファイブの一員となった、可哀相な人だ。

……まぁ、それを言ったら俺もか。

 俺は"ブルー"こと青野剣。ポジション的には……保護者、かな。


 そして、あと一人。


「いくぞ! 掃除殺法赤井インフェルノォォォォォ!!」


 騒がしい雄叫びをあげながら箒を振り回し、黄瀬や桜庭に向かって突進しているアイツが……


(ってもはや掃除じゃないし)


 傍迷惑なお騒がせ屋、リーダーの"レッド"赤井翼。

 ちなみに俺の幼馴染でかれこれ長い付き合いになる。

 以上五名、ジャスティスファイブことヒーロー同好会のメンバーだ。


……ただいま六人目の仲間(これ入れたらファイブじゃなくなるんだが)と司令官もとい顧問をスカウト中だが、それはまた別の話。

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