6
赤井が俺達のもとを去って、早数日。
最初はどうせすぐに泣きついて来るだろうと思っていたのだが……
ヤツは、戻って来なかった。
それどころか、
「……最悪だ」
黄瀬が重々しく呟く。
そう、事態は最悪だった。
「ここ数日で急速に仲間を増やし、ゴミのポイ捨て、購買では並ばずに横入り、遅刻ギリギリに登校、などなど」
緑川が淡々と読み上げる、それが今の赤井の状況だった。
「遅刻しないでちゃんと学校に来るって所が彼の限界みたいだね」
ちなみに見事皆勤賞。
「……涙が出る程情けないぞ、いろんな意味で……」
聞いてるこっちが恥ずかしいのは何故だろう。
「やってる事はセコいが、悪事にゃ変わりねぇな」
「それじゃあ、ぼちぼち出番ですかね? ジャスティスファイブの」
「今はファイブじゃねーだろ?」
黄瀬と緑川のやりとりを聞きながら、桜庭は考え込んだ。
「でもなんだかんだ言って結構な数に増えちゃったからね、僕達だけじゃ対処しきれないよ?」
セコくてささやかな悪事ばかりの赤井だが、どういう訳かヤツに賛同する仲間が集まったらしく、その人数はちょっとしたモノだった。
……だが。
「そこは簡単だ。頭を潰せばいい」
「青野……」
他の連中なんか、問題じゃなかった。
いつだって、トラブルの中心はあいつだ。
毎回毎回この俺を散々振り回しやがったが、今回ばかりは……
「あのバカ、目を覚まさせてやる」
人様にこんなに迷惑かけやがって……ぶん殴ってでも、連れ戻す。
「おおっ、いつになくマジ!」
「……いきますか」
緑川が微笑む。
「そうだな」
黄瀬はゆっくりと立ち上がり、
「ジャスティスファイブ、出動ー♪」
桜庭が元気よく拳を振り上げた。
目指すは、傍迷惑リーダー赤井のもと。
俺達の想いは今、ひとつになった。
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