赤井が俺達のもとを去って、早数日。

 最初はどうせすぐに泣きついて来るだろうと思っていたのだが……

 ヤツは、戻って来なかった。

 それどころか、


「……最悪だ」


 黄瀬が重々しく呟く。

 そう、事態は最悪だった。


「ここ数日で急速に仲間を増やし、ゴミのポイ捨て、購買では並ばずに横入り、遅刻ギリギリに登校、などなど」


 緑川が淡々と読み上げる、それが今の赤井の状況だった。


「遅刻しないでちゃんと学校に来るって所が彼の限界みたいだね」


 ちなみに見事皆勤賞。


「……涙が出る程情けないぞ、いろんな意味で……」


 聞いてるこっちが恥ずかしいのは何故だろう。


「やってる事はセコいが、悪事にゃ変わりねぇな」

「それじゃあ、ぼちぼち出番ですかね? ジャスティスファイブの」

「今はファイブじゃねーだろ?」


 黄瀬と緑川のやりとりを聞きながら、桜庭は考え込んだ。


「でもなんだかんだ言って結構な数に増えちゃったからね、僕達だけじゃ対処しきれないよ?」


 セコくてささやかな悪事ばかりの赤井だが、どういう訳かヤツに賛同する仲間が集まったらしく、その人数はちょっとしたモノだった。

……だが。


「そこは簡単だ。頭を潰せばいい」

「青野……」


 他の連中なんか、問題じゃなかった。

 いつだって、トラブルの中心はあいつだ。

 毎回毎回この俺を散々振り回しやがったが、今回ばかりは……


「あのバカ、目を覚まさせてやる」


 人様にこんなに迷惑かけやがって……ぶん殴ってでも、連れ戻す。


「おおっ、いつになくマジ!」

「……いきますか」


 緑川が微笑む。


「そうだな」


 黄瀬はゆっくりと立ち上がり、


「ジャスティスファイブ、出動ー♪」


 桜庭が元気よく拳を振り上げた。

 目指すは、傍迷惑リーダー赤井のもと。


 俺達の想いは今、ひとつになった。

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