3話目。「休日」





あー、もう11時。起きたらこの時間って、寝すぎ。まぁ土曜日だから学校はない。私は普通というかそれ以下の高校生の休日を過ごす。こんな能力があっても使い道なんて無くて、人を救うみたいな、どこかのアニメにありそうな展開には全くならなかった。


そして午後、一週間前から友達と約束していたカラオケに向かう途中、溜息が漏れる。


カラオケのメンバーは6人、クラスで仲良くしてるグループ。なんか、咲が果林の元彼と付き合いだしたとかで揉めてる。果林は気が強い上に、果林がまだ付き合ってた頃から咲とその元彼は仲良くしてたらしく、3人くらいで咲をグループから省こうとしているって。。こんな風に、、、詳しく状況を分析することができたって、この問題を解決する能力は私にはない。例えば、傷ついた人が居たとして、私には何もできない。心が見えても、それ以外、何も無いんだから。その罪悪感だけが残る、私は結局無能なんだと思い知らされる毎日を送ってきた。そうだ。きっと佐渡くんにはこの気持ちがわかる、と親近感を抱きかけて彼は罪悪感など感じないのだと思い出す。



/



「おーい!かよー!」

もうすぐカラオケに着くというところで果林が私を呼び止めた。


「お、やっほー果林。」

「ねー今日さ、咲来るかなー、来ないといいなぁ。」

「あー、でもさすがに来れないと思う。」

「だよねぇ、もう、無理、咲と今まで通り仲良くできないし、咲が元彼と仲良く手繋いだりしてんのかと思うとガチめに泣きそうになってくるんだよね。」

「だよね。果林が辛いのはみんな分かってるし、それを我慢して咲と仲良くするのはきついよね。」

まぁ、だからって咲が悪いとは言えない。

「やっぱ、かよは分かってくれる。」

そりゃ、全部、見えてるもん。果林は、本当はとてもいい子だ。咲を憎んでしまう自分を責めている。でも、たぶんこのまま六人グループでは居られない。咲を一人にするのはやりすぎだと思うし。ってほらまた、私がごちゃごちゃ考えてもどうしようもないのにね。無駄な正義感が働く。





「咲とみく、来ないってさ。」

「まじかぁ、じゃあ四人だね。」

「よっしゃ楽しむぞーー!うぇーい!」

「「うぇーい!!」」


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