第4話 少年A

神戸連続児童殺傷事件というものをご存知だろうか?日本少年犯罪史上最も残忍な事件とされており、今でもワイドショーなどでしばしば耳にする。

事件の内容については話の本筋から逸れるので言及はしないが、この事件が私の社会に対する恐怖を呼び起こしたのは間違いないだろう。


この事件で最も重要なワードは「性的サディズム」である。生まれながらか、はたまた育った環境か、犯人は人を殺めることに性的快楽を感じてしまうらしかった。多くの人には少しも理解できないものだろう。

しかし、ごく稀に、その感性を持つ人が生まれてくる事実もまた理解しなければならない。

反社会的マイノリティは罪になる。生まれ落ちた瞬間から彼らは悪なのだ。ただ社会を形成する多数派と同じ感覚を持たなかっただけで。

もし、私が反社会的マイノリティを持って生まれてたと思うと恐らくてたまらない。もし、今は多くの人が畏怖嫌厭の念を抱いているマイノリティがマジョリティだったら、社会はどんなおぞましい姿をしているのだろう。さらにそれが当然のように祭り上げられている光景を思い浮かべると恐ろしくてたまらない。

社会の善悪は多数決だ。道徳心も多くの人にとって価値があるものを集めただけに過ぎない。そんな風に思ってしまう私は反社会的マイノリティではないかと思ってしまい、恐らくてたまらないのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る