第393話 少し冷静に考えよう
更に靴も前に見た店より安いのが揃っていた。
「ここはかなり厳しい感じなのですよ」
「何が厳しいんだ?」
「お財布に厳しいのです。ついつい色々買いそうになってしまうのです」
未亜さんも僕と同じ事を感じたようだ。
頭の中を整理する。
今回の物欲の問題は、ザックとテントと寝袋と靴だ。
「素直に考えれば靴かな。雪がない時のハイキング用ならそれほど高く無いし、絶対使うと思うから」
彩香さんはそう判断した。
正しい判断だなと思う。
「そう考えると僕は寝袋か」
でもテントも正直欲しいなという思いが抜けない。
「私達の場合は靴とザックですね」
「そうなのです」
「私は靴なのだ」
そんな訳でまずは靴のコーナーで相談してみる。
「そうですね。これまでどんな山にどんな装備で行きましたか?」
いかにもアウトドアをやりそうな店員さんにそう聞かれた。
「三浦半島の低山、丹沢に日帰りや山小屋1泊、雪が降ってからは来た八ヶ岳の天狗岳、丹沢の三ノ塔くらいです」
彩香さんは割と人見知りするので僕が堪える。
「テント等を背負って歩いたりしますか」
「時々は」
店員さんは頷く。
「雪山の八ヶ岳だけは別ですけれどね。低山の多少の雪程度ならゴアテックスのような吸湿防水素材を使った軽登山靴か革の軽登山靴なら大体大丈夫です。ただ兼用するならいざという時にアイゼンを付けて外れにくい底がかたいものを選んで下さい。
雪を全く考えなければここにあるどの靴でも大丈夫です。ただし足首を守る上でミドルカットかハイカットの靴を選んだ方がいいですね。あとは靴の硬さ、硬い方が荷物を背負った時に楽です。
あとは足の形。最後になりましたが実はこれが一番重要です。出来れば足の形、足に合うかどうかを最優先に選んで下さい。サイズは幾つですか?」
「22.5」
これは彩香さん。
「それですと、ちょっとこの靴下をその靴下の上から履いて試してみて下さい」
彩香さんが店員に渡された靴下を履いている間に店員が靴を3足ほど持ってくる。
「とりあえずこれがうちのオリジナルブランドの3シーズン用の靴です。両足履いてみて、きつくなければそこのコーナーで歩いてみて下さい」
そんな感じで彩香さんの靴選びが始まった。
僕は取り敢えず寝袋は決定としてテントの前で悩む。
今までの僕の貯金を使えばテントは充分買える。
でも、本当は必要ではないんだよな。
欲しいというだけで。
それは自分でもわかっているのだけれども、それでもやっぱり欲しい。
うーん、どうしようか……
あと寝袋の他にマットも買った方がいいだろうしなあ。
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