第392話 物欲の神が降ってきた
そんな訳で無理しないペースで走る。
坂が長ければ歩いて交差点は基本停まってという感じ。
2回ほど緩い階段を押して歩くところがあったけれど、一応自転車用の斜面もつけてあったのでセーフ。
ただそれでも未亜さんがそれなりに走りやすい道をピックしていたようだ。
結果1時間ちょうど位で目的のスポーツ店があるショッピングセンターに着いた。
早速全員でスポーツ用品店のフロアへ。
フロア自体は結構広い。
色々なスポーツ用品を取り扱っているタイプの店だけれども、アウトドア用品もそれなりに揃っている。
そんな訳でまずはお目当てのザックを確認。
目星をつけていた4種類のうち高い方の2つが展示されていた。
早速美洋さんと未亜さんが背負ってみる。
「背負った感じではどっちでも問題無いような気がします」
「肩幅と腰のフィットが、こっちの50のモデルの方があっている気がするのです」
「色は濃紺か黒なんですね。可愛くないけれど精悍な感じです」
更にカタログを見せて貰って安い方との違いを確認しているようだ。
「今の時点のことを考えると、お勧めはこちら(小さい方)ですね。こちらの方がお客様の肩と腰の位置にあっていると思います。50リットルですが上蓋が伸ばせますので、60近くは入りますよ。重さも倍くらいする他の同容量のザックと同じくらいですし、お勧めですよ」
店員さんの意見はそうらしい。
「うーん、ちょっと今は物欲先行中なので、ちょっと頭を冷やして考えるのです」
そんな訳で別のコーナーへ。
ただ今度は僕が捕まってしまった。
「この寝袋、スペック的には先生に借りている物と同じか、ちょっと上だな」
6千円でそんな物を見つけてしまったのだ。
「でも私にはもう少し小さくて軽い方がいいかな」
「取り敢えず僕も頭を冷やすことにしよう」
そんな訳で今度はテントのコーナーへ。
「あ、この2万円のテント、雪山はともかく普通のキャンプにはちょうどいいかも」
4人用で3人で使えばまあまあ余裕。
重さもそこそこ軽いしフレームもアルミ。
しかも吊り下げ式で使いやすそうだ。
「来て見てよかったけれど危険だな、この店」
「気を抜くと財布が破綻するのですよ」
「でもこのテントと亜里砂さんのテントがあったら、5人でキャンプが出来るね」
こそこそと俺はスマホでこのテントの値段とか評価を見て見る。
うん、悪くないというかかなりいい。
しかも他より1万円近く安い。
これなら今までの貯金を使えば、寝袋とテント両方買えるなあ。
あ、いかんいかん。
「もう一度頭を冷やそう」
あえて声に出して自分を戒める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます