第28章 自転車ポタで縦浜へ
第379話 1年生の秘密計画
うちの学校は2月は休みも多い。
祝日2回のほか、中等部の入学手続き日や高等部の前期・後期試験、それに伴う事務作業日等で週休3日位のペースになっている。
2月20日土曜日から24日水曜までの5日間も連休だ。
ただこの連休、先生は色々と忙しいらしい。
更に先輩も何か用事があるようなのだ。
「どうする。今回は何もしないという選択肢もあるけれど」
『悠、ここは実家に帰ってくると言って欲しいのだ』
例の声ではない声で亜里砂さんが言う。
『何故』
『実は私の家で1年生5人のお泊まり会をしようという話が持ち上がっているのだ。外泊許可を貰う都合上、悠は実家に帰るという事にして欲しいのだ。なお彩香にも見兄も美洋にも根回し済みなのだ』
なるほどな。
「そっか、たまには実家に帰るのも悪くないか」
「たまにはそれもいいでしょうね。亜里砂さんも家に帰るそうですし」
先生がそう言って、そして川俣先輩がにやりと嗤う。
先輩は何か気づいているらしい。
あえて何も言ってはこないけれど。
「まだまだ先ですが、私も春休みに1週間くらいお休みをとれるので、2泊3日位の山行をしてみましょうか。それともまだやっていない自転車旅の方がいいでしょうか。相模湾をずっと西進しても、房総半島あたりに出向いてもいいですしね。ちょっとお金がかかるけれど伊豆大島一周なんて事も出来ますし」
「美野里先輩は茨城県の筑波や霞ヶ浦付近もいいって言っていたな。割と平坦でサイクリングロードも完備しているって」
色々魅力的な案が出てきている。
そう言えば自転車旅はあの江ノ島以来行っていなかったな。
ところで何故か1年女子4人がにやにやしている。
何故だろう。
その時の僕はその理由に気づかなかった。
◇◇◇
計画の詳細はその夜、SNSでもたらされた。
2月20日土曜日の朝に学校を自転車で出発。
① 途中九景島へ寄り道をして遊園地をちょっとぶらぶら
② その後自転車で縦浜南部市場へ行って新鮮な魚料理を食べて
③ そのまま海沿いと川沿いでみなとみたいの亜里砂さん宅を目指す
そうである。
つまり以前途中で断念した夜中のハイキングの
準備室で自転車旅行の話をしていた時ににやにやしていたのもこれが原因だな。
計画了解とSNSで彩香さん、亜里砂さん、美洋さん、未亜さんに同報で送る。
そしてパソコンを起動して、学内ネットワークから学泊届の書式を呼び出す。
2月20日土曜日から24日まで外泊、理由は帰省と。
何か前もこんな偽の外泊届を出したなあ、と思い出した。
あれも亜里砂さん宅に行った時だな。
それにしても外泊届に嘘書いて女の子の家に泊まるとは、まるで不良みたいだ。
まあ実体は可愛いものなのだけれど。
何か僕は一人でおかしくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます