第380話 ポタリング準備・出発
僕らの自転車は1台1万円もしない安物折りたたみ自転車。
でも詳しい美野里先輩のおかげでそれなりの走りが出来るようになっている。
具体的にはギア比の適正化とブレーキパーツをアップグレード。
そして本日金曜日の放課後、自転車の徹底整備を実施した。
「快適に走るにはタイヤの空気を目一杯入れて、あとシートの高さを片足がやっとつく程度まで上げまくるのがいいらしいのです」
更にこの度これらの自転車に新兵器が取り付けられた。
ゲル入りのシートパットである。
通販で安売りしていたのを未亜さんが見つけて人数分購入したのだ。
「これでお尻は大分ましになる筈なのです」
更に万が一の為100円ショップで購入したライトも取り付けた。
更に100円ショップで買ったボトルゲージも装着。
気分はサイクリング車だ。
「本当はもう少しハンドルが遠いポジションになればベストなのですよ」
でも空気圧調整やチェーンの油さし、ワイヤーのグリスアップの結果。
なかなかいい感じで走るようになった。
ちなみに未亜さんと美洋さんの自転車はぱっと見別物のようになっている。
前カゴや後方用ライト付きで、荷台とか泥よけも別物だ。
更にハンドルにスマホホルダーとかもついている。
「未亜と通販を見ていたら何かいろいろと付けたくなってしまったんです。自分の自転車でもないのですけれど」
「来年新入生が入ったらどうしようか」
「正式な部に昇格するから学校から活動費が出ると思うのです。それで新入生分はまた購入すればいいのです」
「もう美洋や未亜は自分のを買った方がいいような気がするのだ」
「本当はBIRDYが欲しいのですが値段が高いのですよ」
「DAHONの安いので我慢すればいいのだ」
「その後の改造を考えると8速以上のモデルがいいんです」
そんな事を言いながら何とか整備終了。
「装備は寝袋と着替えでいいよね」
「空気入れと予備チューブは一応用意してあるのです」
という事で今日は解散する。
◇◇◇
朝8時30分に集合。
即出発する。
先頭は美洋さんで最後が僕。
なお美洋さんと未亜さんの自転車にはナビ代わりのスマホがスマホホルダーに装着されている。
例の高いプリンの店の裏を通り、太い道路を渡ったら本日一番の坂。
なんとか一番軽いギアでよいしょ、よいしょという感じで登る。
周りは住宅地で車通りもそこそこ程度なので走りやすい。
でも坂が長すぎて、ついに先頭の美洋さんが自転車から降りた。
あとは皆下りて歩いて登る。
「スピードを考えなければ歩いた方が絶対楽ですよね」
「今日は急ぐ旅では無いのだ。のんびり行けばいいのだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます