間奏曲 少し気になる進路の状況
第378話 少し気になる進路の状況
勉強関係の行事は3月12日にある業者テストを除いて残っていない。
成績を決める期末テストもクラス分けテストも全て終わってしまった。
そんな訳で学内はわりとのんびりした雰囲気になっている。
3年A組の何人かを除いては。
ここ深草学園は中学はともかく高校のレベルとしてはそこまで高く無い。
進学実績もそこそこ程度。
だからA組の上位半分位は他の難関校を受験する。
今回は3年生に知り合いはいない。
でも。
「川俣先輩は来年、他の高校を受験するんですか」
「多分な」
先輩は頷く。
「私のような普通人と違う生徒も積極的に受け入れている学校は此処以外にもいくつかあるんだ。例えばカヌーや夏合宿を一緒にした秋津学園とかさ。そういう処を中心に2校くらい受けるつもりだ」
ちなみに成績が学年全体の上位25パーセントに入っていれば、他の高校を全て落ちてもこの学校に残ることが出来る。
だから滑り止め校の受験は必要ない。
「どんな処を受験するんですか」
「ちょっと待て」
先輩は使っている机から受験の資料らしい本を出してページをめくる。
「ここに赤丸をつけたのがそう言った生徒を受け入れてくれる学校だ」
女子高もあれば共学校もある。
「これって彩香さんが使っている制度でも受験できるんですか」
「2校までなら受験できる筈だぞ。奨学金も継続できる。ただ悠のような一般生徒は普通に受験になるし奨学金も学校独自のがない限り受けられなくなる。大丈夫か」
「うちの親も高校くらいはお金を出してくれると思います。中学時代は生活費も含めて出して貰っていないんですから」
「それにしても何故そんな事を気にするんだ。まだまだ受験は先だと思うぞ」
「まあそうですけれどね」
今現在、彩香さんが1年生のトップで僕が2番目だ。
このまま3年生になって受験する時、僕と彩香さんが同じ高校に行けるかどうか。
それがちょっと気になった訳だ。
「悠はなかなか健気なのだ」
こら亜里砂さん、それ以上言うなよ。
「亜里砂はその前に頑張って上位4分の1まで成績を伸ばすのですよ」
「私もですね」
美洋さんの言葉に未亜さんは頷く。
「当然なのです。そこで始めて完全な里外へ出る事が出来るのです」
なるほど、美洋さんの場合はそういう事もあるのか。
美洋さんは里で特別扱いされるのが嫌って言っていたしな。
そういう扱いの全く無い普通の学校へ行くことが目標なのだろう。
必然的にここ深草学園より難しい高校に行かなければならない訳だ。
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