第370話 高級プリン1個の重さ
プリンの刑という言葉が何を意味しているのかはわかる。
金曜に準備室で未亜さんが言った台詞だ。
更に前にもプリンが会話に出てきた気もする。
でも今、亜里砂さんが言ったのはこの金曜の方だろう。
『以前の方のプリンの刑も意味は同じなのだ。ちなみに七橋先生のところで裕夏さんと会った後、自己嫌悪した未亜を悠が慰めた時の事なのだ』
そうだ、あの時だ。
あの時はプリン1個の刑だったけれど。
『その時の被害者は未亜1人だからなのだ。今回は私と未亜、美洋の分だから3人分なのだ』
何かがわかりかけてきたような気がする。
でもまさかという気もする。
『その予測であっているのだ』
おい、本当か。
『本当なのですよ』
何かため息でもつくようか感じで未亜さんの台詞。
『基本的には魔法使いとか術使いは他人を恐れているのですよ。いくら特別な力が使えると言っても人数の暴力には勝てないのです』
『だから基本的には自分の力を隠すのだ。隠して普通という仮面を被るのだ』
未亜さんと亜里砂さんが交互に説明する。
『自分の事にもなるのですが、特に読心能力なんてのは他人に嫌がられるのですよ。私の場合も能力の詳細は里の関係者と美洋、あとはここにいる1年生位にしか言っていないのです。川俣先輩は感づいているのですが』
『川俣先輩も猫又だから弱い感知能力があるのだ。ただ私や未亜は意識しない限り、声とか音とかと同じ次元で人の思考が聞こえてしまうのだ』
声の無い台詞は交互に続く。
『そんな訳でよほど大丈夫な相手でないと能力を教えたりしないのですよ』
『私もなのだ。同じ魔法使いでも読心系の魔法使いは魔法を隠したりするのだ。彩香とか美洋、そして悠は例外中の例外なのだ』
『私と亜里砂は方法は違えどほぼ同じ能力を使えるから例外なのですけれどね。隠してもお互い見えてしまうので』
うん、その辺までは理解できる。
また未亜さんがため息をついた気配があった。
『そこまで理解できるならもう少し先まで考えて欲しいのですよ』
『そうでなくても読心系は被害妄想気味で他人が苦手な奴になるのだ。常に人の思考が見えているから疑い深くも被害妄想気味にもなるのだ。そのくせ人の思考が読めるから
『私も話していて楽なのは美洋くらいだったのです。美洋は小さい時から私を知っているし、それなりの経緯で理解もあるのですから』
『私に至っては同年代でそういう友達は今までいなかったのだ。彩香が初めてで、次が悠だったのだ』
僕はやっと話の構造を色々理解した。
『美洋もある意味では同じなのですよ。里だと有力者の娘という立場が強すぎて、また里は女系社会で男性が少ない事もあり、対等な異性の友人というのがいなかったのです。この学校も里の続きのようなものです。だから悠が最初の対等な異性の友人だったのです』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます