第20章 雪山登山初級編
第327話 次の予定
12月14日月曜日。
テスト漬けの一週間がようやく終わった。
本来、僕にとっては授業よりテストの方が実は楽だ。
ただテストの後の復習はわからない処がわかる分、実は効率がいい。
そしてそれを未亜さんが見逃すわけも無い。
そんな訳で週末の土日にはいつものように図書館に集合。
○ 主要教科の中間テスト自己採点と間違った場所の復習
○ 業者テストの自己採点と間違った場所の復習
なんてやったので結構大変だった。
ただ、美洋さんも亜里砂さんも大分点数が良かったらしい。
「これが最初から出来たら文句無かったのですよ」
とか未亜さんが言っている位だから。
そんな訳で月曜日放課後。
やっとテストから解放されて、準備室内の空気は冬合宿へと向かっている。
「唐沢鉱泉に車を停めて、テントを張る黒百合平まで、普通なら1時間50分。そしてそこから東天狗岳まで1時間半、更に西天狗岳まで15分か」
地図を見ながら確認。
何せ八ヶ岳なんて本格的っぽい処で雪山初体験なんてやるのだ。
色々心配になったりもする。
「雪山登山というと選ばれた人達だけの世界のような怖いイメージがあるのですよ」
未亜さんの気持ちに僕も同館だ。
「でも綺麗だって言うし、凄く楽しみなんです」
そう積極的なのはもちろん美洋さんだ。
「雪山でテント張って中で鍋やって、なかなか楽しそうなのだ」
亜里砂さんも積極派。
「今回のコースは本格的な雪山の入門コースみたいなものなので、服装と装備さえきちんとしていればそんな怖いコースでは無いですよ」
先生はそう言うけれど。
「勿論装備はしっかり準備しますけれどね。一番大事なのは服装です。下着からもう普段と違いますから。まあ貸せるようにお勧めのものが安い時にちょいちょい買っていますから、各サイズ在庫は充分にありますよ。最近は安いけれど使える服が結構出ていますしね。
ただ、同じように見えるインナーでもメーカーによって雪山に使えるものと使えないものがあるので、自分で買う時は十分注意して下さいね。例えば素材、綿が駄目なのは勿論ですけれど、化繊でもレーヨン系は若干汗を吸ってしまうので避けた補遺がいいんです。アクリルとかポリエステルとかポリウレタンなら大体大丈夫ですけれど。
まあ服装についてはメモでまとめたので参考にして下さいね」
単なる服装でも普通の山以上に色々ルールがある模様だ。
何か考えるのが大変だなと思ったところ、先輩が横から口を開く。
「要は汗で冷えないよう、汗が外へ逃げてなおかつ雪で濡れない服装ってことなんだ。その為に体温調節しやすい動きやすい服装と考えた結果さ。
その辺はネットでうるさ型が色々書いているから参考にすればいい。靴とかピッケルとかスパッツとかアイゼンは先生の家にいくつもあるから心配しなくていいし。ザックは悠や亜里砂は自分ので充分だろ。寝袋とかシュラフカバーとかマットはこの前の山小屋と同じ。テントはこの人数ならぎりぎりあの大きいの1個で足りる筈」
「服装や装備の見本は明日あたり持ってきます。あと、もし町でも山でも使える服をこれから買おうかと思っているのなら、今週末に一緒に見に行きましょうか」
あ、ここでちょっと嫌な予感がした。
亜里砂さんの家に泊まった時、買い物に付き合って疲れた思い出が頭を過ぎる。
あの牛歩に付き合うのはもう勘弁して貰いたい。
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