第315話 大きい滝で一休み

 このコース、確かに紅葉と沢、そして滝がとにかく綺麗だ。

 石堤から落ちる水もきらきらしていて、紅葉と青い空に映えている。


「何か写真を撮りまくりたくなるのですよ」

 そう言いながら未亜さんがスマホで撮りまくっている。

 その気持ちは良くわかる。


 道はそれほど急では無い。

 むしろ気持ちいい感じ。

 これだけ歩くと身体も温かくなるし。


「学校裏の川もいいなと思いましたけれど、ここは別格に綺麗です」

「まあそれぞれの良さってのがあるからさ。でも確かにここは綺麗だな」


 そんな感じで1時間。

 途中先生のおすすめという事で、登山道からちょっと外れて沢歩きを約5分。

 いい感じの滝に出た。


「ここが本棚という滝です」

 折角だから水しぶきがかからないぎりぎりまで寄ってみる。

 かなり大きく高い滝だ。

 でも歩いて真下というか水の裏側近くまでいける。


「大きいな、どれ位の高さなんだろう」

「確か50メートル位と聞いたような気がします」


 確かにそれ位あるかもしれない。

 ただ自然の中だと良くわからない。


「この滝はいいな。何かこれだけで満足しそうだ」

 先輩が言ったその感想にただ頷くくらいだ。


「ここで軽くお昼を食べましょうか」

 先生がそう提案。

 各自買ってきたおにぎりやパンと、先生が湧かした水で作ったコーンコンソメスープで食事となる。


「すごくいい滝なのですが、写真ではこの迫力や良さが全然伝わらないのですよ」

 悔しそうに未亜さんが言って、それでも未練気に何枚も写真を撮る。


「歩いてきた人だけの特権なのだ」

 おにぎりを頬張りながら亜里砂さんがそんな感想。

 確かに亜里砂さんの言うとおりだな。

 まだあまり疲れていないけれど。


 ただ、地図によるとこの先から一気にきつい登りになるようだ。

 正確にはスマホの地図ソフトだけれども。

 ちなみに携帯電話はもうアンテナが立たない。

 かなり山奥という事だろう。

 他の登山者にも今のところあっていない。

 平日だからだろうか。

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