第311話 山頂でちょっと休憩して
御飯を食べたらしばし休憩。
1年女子の皆さんは山小屋に買い物券冷やかしに。
先輩は防寒具全部着装の上お昼寝中。
先生は、
「水を汲んできます」
と水のボトルを持って消えて行った。
僕は山頂をぐるりを回ってスマホで写真撮影。
空が青くて何処を見ても被写体という感じ。
割と広めの山頂部分をぐるっと回って。
戻ってみると売店組も戻っていた。
「買ってしまいました……」
彩香さんが見せてくれたのは銀色の、山と山名標が入っているバッチだ。
『塔の岳山頂1491M 神奈川県』と入っている。
「この山の形、ここから見る富士山と手前の山々なんだって」
彩香さんにそう言われて見比べてみると確かにそんな感じだ。
「確かにこれ、記念になるかもな。写真と一緒に撮っておいて」
一応全員登頂の写真は撮ってある。
でもとりあえず、モデルの山名標と富士山の入る方向で個人写真を撮りまくっていたら。
先生も戻ってきた。
「どこまで水を汲みに行ってきたんですか」
「ここから5分ほど下った処に水場があるんですよ。不動の清水って呼ばれているんです。見かけは雨樋のパイプから出る水なんですけれどね。美味しいと聞いているのでどんな味かなと思って」
そう聞くと飲みたくなるものだ。
全員で試飲した結果、2リットルあったのがほぼ無くなってしまった。
でも、確かにひんやりしていて美味しい水だ。
「ボトル入りの天然水より美味しい気がします」
「そりゃこっちも本物の天然水だものな」
なんて言いながら。
間接キッス何回目かはもうカウントしていない。
まあ、アウトドアをやる以上しょうが無い。
もう慣れた、きっと。
「さて、そろそろ行きましょうか」
「何か勿体ないですね」
そう言った美洋さんの気持ち、僕にも良くわかる。
「ですからさっきの道を使って真っ直ぐ降りないで、ちょっと表尾根を経由して帰ってみましょう。登山届にもそう書いておきましたし、あの階段を降りるのもちょっと嫌でしょう。景色はたしかにいいんですけれどね」
そんな訳で。
行きとは違った方向に向けて僕達は歩き出した。
頂上からしばらく急な下りを下りると樹林帯に入ってまた気分が変わる。
坂も緩やかになって気持ちいい感じだ。
もっとずっと歩いていたい。
どうせ下りが圧倒的に多くて楽だし。
そう思いながら皆、快調に歩いて行く。
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