第263話 採った後は下拵えです

「その実がくるみですよ。基本的に落ちているのを採ります。黒くなっている方が熟れているのですけれど、その黒いのは服とか布地につくと取れなくなるので、十分注意して、拾う時も軍手かトングで拾って下さいね」


 そんな訳で軍手を装着。

 機嫌の悪い梅の実のようなものを、木からも落ちているものも採っていく。

 大量になっている上に、よく見ると他に転々とある木全てがこれと同じ木だ。

 もうサル状態になって皆で採取しまくる。


「落ちて割れているのがあるけれど、これは自然に割れるのかなあ」

「それは大体ネズミとかの仕業ですね。ネズミというと嫌なイメージがありますけれど、実際に見てみると結構可愛いですよ。

 あと他の人もきっと採りに来ると思うので、1人スーパーの買い物袋1袋までにしておきましょうね」


 そんな訳で採りながら移動する。


「不注意に木を揺するなよ。揺する時は一声かけて。この木は虫が結構いるからな」

 先輩がそう注意するけれど。

 やはり落ちそうなものは揺すってみたくなるもので。

 木を揺すってみて落ちたのは採って、残ったのはそのままにして。

 落ちているのは基本全部拾って。


 かなり歩いただろうか。

 皆さん袋が重そうだ。


「そろそろ帰りましょうか。ここのは絶滅とかそういう心配は無いですけれど、他にも楽しみにしている人もいるでしょうしね」


 そんな訳で歩いてみるとそんなに歩いてなかったりする。

 他にクコの実等もあったけれど、

「クコはトゲがあるし余り美味しくないからパス」

という先輩の言葉に従ってパス。


 車に戻り時計を見てみる。

 まだ2時間かかっていなかった。

 随分と採取したような気がするけれど。


「さあ、家に戻って下拵えですよ。途中お昼御飯の材料を買いにスーパーにも寄りますね」


 そして車はスタートする。


 ◇◇◇


 先生の家に帰って、仕分けと下拵え作業がスタートする。


「小豆はまず全部、この箱に入れて下さい。さやごとでいいですよ」

 というので新聞紙を敷いた上に置かれたフライパンに皆で開ける。

 とにかくはじけるのが注意点だ。


「これをちょっと暖かめくらいのオーブンで乾燥させ、中の種を全部はじき出します。その後に水を入れて虫食いとか鞘とかを選別して、それから調理ですね」


 というので小豆はとりあえずここまで。


「ジュズダマは取り敢えずこっちのボールに入れておいて下さい。後で皆さんで食べられるようにする作業をしますから」


 ジュズダマはボールへ。


「そして本日のメイン、くるみです。これはこれから皆で作業をしましょう。コンクリ敷きの方で水を出しながらやりますよ」


 皆でくるみの袋を持って集合する。

 先生は使い捨ての薄いビニル手袋を全員に配布した。

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