第255話 他の獲物もあったりします
美味しい飯を食べてちょっとまったりしたら。
「さて、そろそろまた採取の旅に出るぞ」
という事で出発だ。
もう目がドングリ探しになれてきたので、どんどん見つかるし拾っていく。
今の食事タイムで元々余り疲れていなかったのが完全回復という感じだし。
そんな訳で5~6人がいた山頂も通り過ぎ、そして下り道に入る。
やっぱりドングリはしっかり落ちているので休む間も無く採っていく。
すると、ちょっと藪っぽい状態がハイキングルートにかかった感じの場所で、先輩がぴたっと足を止めた。
「いいもの発見だ。上を見ろ!」
と言われてもわからない。
何か藪っぽいつるっぽい感じで。
でも
「あけびなのです。気づかなかったです」
未亜さんは気づいたようだ。
「そう。ただちょっと私の身長でも辛い感じだ。そんな訳でチームプレー行くぞ。未亜、肩車で上。とにかく枝かつるのどこかを掴んで下に引っ張ってくれ。引っ張ったつるを悠がつかんで、さらに引っ張れば多分届く」
という事で。
3人プラス美洋さんや亜里砂さんも枝を引っ張った結果。
ちょっと肉厚な紫色っぽい実が3つほど手に入った。
「これがアケビですか」
先輩がウェストポーチからウェットティッシュを出す。
「これで手を拭いて、その種の処を少しずつ食べてみな。種そのものは食べられないけれど、回りの透明っぽいところ」
皆で手を拭いて少しずつ賞味させていただく。
「お、甘い!」
「種は吐き出せよ。スイカの種の要領でさ」
量が無いのであっという間に中身は無くなる。
「この皮部分はどうするのだ?」
「それはそれで料理に使えるから持って帰る」
先輩がそう言ってビニル袋に入れた。
「こういう明るくて『茂っているぞ』というような場所によくあるからさ、さっきから注意して上を見ていたんだ。どうせ下は皆見ているしさ」
これが経験の差という奴なのかな。
「さて、行くぞ。まだマテバシイは採っていないしさ」
そんな訳でまた僕達はあちこちを探しながら歩き始める。
上を見るようになったせいかペースが更に遅くなったような……
でも楽しいからまあいいか。
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