第253話 ドングリ拾いは順調に

 土曜日は朝からいい天気。

 ネットの天気予報も一週間は晴れマーク。

 そんな訳でまずは学校からスタートだ。


 ドングリ拾いハイキング計画は最初の予定とコースが変わった。

「どうせなら美味しい方のドングリを大量に拾いたいです」

 という意見を受けて金曜日に変更したのだ。


 結果、学校側から三浦アルプスの尾根に登り、尾根を東に行って入頭山、畑山経由で一度下山。その後楠木山を上り下りする感じになった。

 春の新人歓迎ハイキングに近いルートだ。

 厳密に言うと春のハイキングより楠木山が入る分、30分程度厳しいコースだ。

 彩香さんや亜里砂さんは大丈夫だろうか。


 なお、先生は電話待機。

 電話をすれば車が入れる場所までは迎えに来てくれるとのこと。

 一応考えられる山脱出地点は6箇所程記号を振ってある。

 あとは何処まで体力が持つかだ。


「それじゃ行くぞ!」

 朝7時集合即出発。

 学校前の川を渡り、獣道のような道をよいしょよいしょと登っていく。

 そして登り始めてすぐ川俣先輩が何かを拾って皆に見せた。


「これがスダジイの実。要はドングリだ。学校周辺の山の尾根沿いは大体スダジイのドングリだな。特徴はこの小ささと、この明らかに他のドングリの形と違う殻。まあ形を見て判断すれば大体大丈夫。ただ間違うと渋ーいドングリだから、極力間違わないように。

 そんな訳でここからは拾いながら行くぞ」


 言われてみると確かにいっぱいなっているし、落ちてもいる。

「虫食いとかはあとでちゃんと選別するから心配しなくていいぞ。ただ最初から穴が空いているのはやめとけよ」

 という訳で。


 道はドングリのなるスダジイの木と杉の木が交互という感じだ。

 杉林部分に入るとがっかりし、スダジイ部分に入ると目を皿のようにして探し。

 そんな感じで30分も歩いただろうか。

 尾根道に出た。

 ここは今登ったよりははっきりした道になっている。

 ちゃんとしたハイキングルートという感じだ。


「この尾根が三浦アルプス。千源山は右だけれど、金曜に予定変更した通り左に行く。尾根はほとんどスダジイだから、しっかりキープしとけよ。まあ言わなくてもキープしているか」

「当然なのだ!」

 既に各自コンビニの小さい袋半分以上は拾っている。


 そんな訳でドングリ拾いをしながらゆっくりゆっくり歩いて行く。

 このペースだと案外楽かな。

 でも実は僕はちょっと荷物が重い。

 今日のお昼御飯の半分は僕のザックに入っているから。


「結構いっぱい落ちているのですよ」

「順調だね」

 収穫は確実に増えていく。

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