第251話 更に先の計画を

「これはなかなか美味しいのだ」

 亜里砂さんは二個目に突入。


「確かに美味しいです。電子レンジでこんな簡単に食べられるのですね」

 美洋さんも2個目。


「そう、中だけにしてしまえばこれはとっても美味しいんです。中身だけなら冷凍でかなり長い事保たせることも出来ますしね。そんな訳で明日はこれを剥いて各自持ち帰って、冷凍庫で冷凍保存するところまでをやりますよ」


「ただ1日に食べていいのは7個以下にした方がいいそうだ。弱いけれど神経毒があるそうだからさ」


 神経毒!

 そんな恐ろしい毒が入っているのか。


「食べ過ぎるとどうなるのだ?」


「神経毒としてはけいれん症状を起こすみたいですね。あとはアレルギー症状とか、腹痛とか」


「何か怖い食べ物ですね」

 彩香さんがそんな事を言う。


「実際はそこまで恐れることもないのですけれどね。体質などで症状が出やすい人もいるので、念の為にという事です。7個というのはよっぽどのことが無い限り、6歳以上のこどもでも大丈夫だろうという値です。だから余り心配はしなくて大丈夫ですよ、食べ過ぎなければ」


 彩香さん、ちょっと安心した様子。

 そして。


「そんな訳で銀杏講座は明日まで。あとは各自勝手に取ってきて処理すればいい。寮でやると色々言われそうならこの部屋で処理すればいいし。何なら放課後自転車で走り回って探してもいい。ただ効率か良いのは早朝だけれどな。拾っている人も多いし、掃除で結構なくなるしで」


「了解なのだ。まずは学校の門の前のイチョウ2本からスタートなのだ」

 先輩がそこでにやりとする。


「あそこは難しいぞ。家庭科の七橋先生が常に目を光らせているからさ。七橋先生は大体6時過ぎにはあそこに来て落ちているのを全部確認している。狙うなら別の場所だな」


 七橋先生、流石というか……


「あとは今週末の合宿だな。2泊3日ドングリ拾いと処理のハイキング」


「どんなかんじでやるのですか」


「最初は学校近くの山を回ってスダジイを採取、その後楠木山のハイキングコースに行ってマテバシイを採取かな。途中移動は先生の車にお願いするけれど、それでもコースタイムが休憩含めて半日の結構ハードな日程だ。ただ山を下りればすぐ先生の家だからさ、その辺は大分楽だけれど。


 昼飯はこっちで用意する。だから行動水1.5リットルから2リットルを用意してくれればいい。あとは歩きやすい靴だな。雨具は先生から借りればいいし、ザックは普通に使っているディパックでいい。悠はいいのを買ったみたいだけれどさ」


 バレたか。

 最大50リットルというちょっと大きめのザック。

 これは実家に帰った時に購入したのだ。

 家の自覚のスポーツ専門店で安かったのと、親にハイキングをすると言ったら買ってもいいと言って貰えたのとで。

 既に亜里砂さん家までの夜のハイキングで使用して、荷物の入れやすさと容量の大きさは確認済み。

 しかも背負い心地が安いディパックより遙かにいい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る