第12章 秋の実りをいただきます
第247話 連休前の金曜夜に
偽の外泊届を出して親が不在の女の子の家に泊まり込み。
うん、立派な不良行為だ。
不健全な気配は全く無いけれど。
そんな訳で9月18日金曜日午後9時過ぎ。
場所は亜里砂さんご自慢の夜景が見えるリビング。
そこに5人でマットと寝袋持参のイモムシ状態でだべっている訳だ。
「調べたのですけれど、縦浜付近は銀杏の木が多いそうなのです」
「みなとみたいの駅の南にも並木があるし、日本通りから縦浜公園にかけての銀杏並木も有名なのだ」
未亜さんと亜里砂さんがそんな話をしている。
「それでなのですが。銀杏の実はイチョウが黄色くなる前から実は落ち始めているらしいのです。具体的に言うと、既に今頃は落ち始めていてもいい頃なのです。
ですから明日は朝早くからお散歩して、拾える物なら拾ってみたいのです」
「集めてもいいけれど、匂うとちょっとまずいのだ」
「集めたらビニル袋に入れて、処理は学校でやった方がいいと思うのです。流石に匂いが取れなくなると申し訳無いのです」
「なら賛成です。朝は銀杏拾いですね」
「素手で持つとかぶれたりするので、スーパーの白ビニール袋を手袋代わりにして拾ってみるのです」
なんて、縦浜に来たのにいつの間にか銀杏採取の話になっている。
「朝のお散歩が終わったら一度休憩して、お昼頃からまたお店回りしようよ。いろんなお店があって楽しいんだよ」
「勿論なのです。それが今回のメインなのですから」
店回りもするらしい。
「何なら僕は図書館か何処かに出かけていていいかな。呼ばれたら合流するから」
時速200メートルの恐怖はまだ忘れていない。
「甘いのです、と言いたいけれどまあ大目に見るのです。亜里砂さん、何時くらいに再集合をかける予定なのですか」
「この前と同じ夜景を見たいから、午後5時半にこの前の沖縄アイス屋さんなのだ」
「了解」
助かった。
「悠君は一緒に回らないんですか」
美洋さんがそんな事を言うけれど。
「女の子同士の方が時間を気にせずゆっくり見て回れるのです。悠をあまりそういう処で待たせるのは可哀想なのです」
未亜さん、良くわかって言うらっしゃる。
「その代わり、いいのが買えたらここで披露すればいいのです」
しなくても別にいいけれどそれ位は妥協してもいいかな。
「あとは食べ物がないのでスーパーに買い出しにも行きたいのだ。午後8時以降にいけば安くなっている物もあるのでお勧めなのだ」
なるほど、買い物は必要だな。
夕食は遅くなるけれど。
「なら明日は4時半に起きて銀杏拾い、お昼過ぎから買い物、夜景を見て最後はスーパーで買いだしなのです」
「了解」
そんな訳で、連休が始まる。
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