第228話 今日これからが本番です
何とか目的地まで辿り着き、安いパソコンやテレビを見ていると。
割とすぐ2人がやってきた。
「よしよし、ちゃんと待っていたのだ」
まるで犬相手みたいだというのはおいておいて。
「駅から離れているしわかりにくいけれど、ここはよく使うの」
疑問に思った事を聞いてみる。
「駅から離れている分、紛らわしいとか他と間違うような心配が無いのだ。あとこのビルは上が模型やパソコンや電気屋で男性向き、下が割と安めのファッション揃っていて女の子向きなのだ。父とはよくここで待ち合わせるのだ」
なるほど、そういう訳か。
「ついでに言うと、こっちはここまででデパート等で御高めのブランドを見てきたところなのだ。そして世間の流行と傾向を掴んだところで、これから買うか買わないか、ここにあるそこそこの値段の店で勝負に出るのだ」
つまりこれからが本番という訳か。
ちょっと嫌な予感が。
「その通り、具体的にはここの4階から地下まで見て、確認した後に買うものがあれば上に戻るという訳なのだ。悠も付き合って貰って、下までお願いするのだ。
なおここはたまに父とも来たりするのだ。上の大きいプラモデル屋が父のお勧めで、父はあのフロアで平気で2時間くらい潰すのだ」
なるほど。
なかなか良く出来たビルだ。
たださっきした嫌な予感が的中した。
つまりここで亜里砂さんは父に2時間を潰させるような買い物をするという事だ。
そして今日もひょっとしたらそれ位のつもりでいるのかもしれなくて。
そしてそれに付き合えと。
「何なら上の模型屋で待っていようか」
逃げられるかどうかの確認をしておく。
「今度は本気モードなのだ。だから服の感想とか、比べた場合はどうかとかの判定も欲しいのだ」
逃がしてはくれないという事か。
「さあ、皆で行くのだ!」
ちらっと彩香さんの方を見る。
万が一の望みをかけて。
「悠君よろしくね」
駄目だった。
逃がしてくれる気配、ゼロ。
つまりここからは本気モードの時速200メートルという訳か。
「人生諦めが肝心なのだ」
さらっと亜里砂さん、そんな事を言う。
今のは間違いなく僕向けだな。
完全な確信犯だと。
そんな訳でまた、僕にとってはハイキングより辛い疲れる散歩が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます