第227話 今日は縦浜駅周辺です

 翌日。

 御飯にサバの干物を焼いた奴という日本風の朝食を食べて。

 今日はマンションの北口から外へ出る。

 既に外は暑い。


「300メートルの辛抱なのだ」

 そう言う亜里砂さんについていって。

 公園を横切り、大通りを渡り、妙に立派な歩道橋へのぼる。


「ここから縦浜まで一直線なのだ」

 いかにも会社内の通路という感じの処を通る。

 下は自動車のギャラリーになっているようだ。

 更に半分屋根になっている橋をわたると、そのまま道はデパートの2階とくっついていた。

 歩行者としては便利な通路だ。


「それでは私達はここから回っていくのだ。次の連絡は午後1時、それ以外でも何かあればSNSでおくるのだ」


「じゃあ行ってくるね」


「ほいほい」

 という訳で2人を見送る。


 さて、僕はここから地下に出た方がいいのかな。

 目的地は駅の向こうだから。


 ◇◇◇


 良くわかった。

 僕はこういうウィンドゥショッピングは苦手だ。


 東急ハンドは確かに面白かった。

 その後電気屋でスマホやパソコンを見て。

 一通り興味がある物は見たなと思って時計を見るとまだ午前11時30分。

 待ち合わせまであと1時間半もある。

 服は最小限あれば充分だし、他に欲しいものも特にないし。


 仕方が無いので本屋を探し、立ち読みをして時間を潰した。

 ただ大きい本屋に来るのは久しぶりなので、ついつい色々読んでしまった。

 結果、文庫本を2冊買ってしまった。

 思わぬ出費だ。

 食事代2日分近い。


 寮に戻ったら節約生活をしなくちゃなと思いつつ、ビルの階段近くにあったベンチで勝った文庫本を読み始める。

 つい夢中になって読んでいると、スマホがブルブル振動した。

 まずい、連絡時間だ。

 あわててスマホを出す。


『東口はほぼ回り終わり。今どこ?』

『西口タイエーの上のあかい書店。合流するよ。何処行けばいい?』


 ちょっと待つと返事が返ってきた。


『ビプレ7階、カメラ屋のアウトレット』


 意外な場所を指定された。

 女の子らしくない場所だな。

 どちらかというと僕向きの場所だ。

 でもまあ、有り難いと言えば有り難いけれど。


 さて、ビプレはここに来る前に通ったよな。

 念の為スマホで場所を確認する。

 やはりここから縦浜駅に帰る途中の場所だ。

 亜里砂さん、その辺も配慮してくれたのかな。

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