第222話 時速200メートルの疲労感
時速200メートル前後。
本日直近3時間の平均移動速度である。
正確なデータでは無いけれど。
最初は彩香さん、色々遠慮気味だった。
「買わないのに服だけ見ていいのかな」
そんな感じで。
「でももし凄く似合うのがあれば買うかもしれないのだ。そうすればお客さんなのだ。だから遠慮せず見るだけ見てみればいいのだ」
そんな感じで洋服とかアクセサリの店をじっくり見て回って。
いつの間にか彩香さんも夢中になってしまった訳だ。
まあ昨日から色々彩香さんのご機嫌を損ねていたので、それはOK。
洋服やアクセサリだけでは無い。
地下にあったスポーツ用品のお店では、アウトドア用品の処でもストップ。
ガスコンロとか見て、
「先生に何気なく借りているけれど、結構値段がするんだね」
と実感したり、
「でもいつかは自分の道具が欲しいな」
とか言ったり。
「この鍋があれば山でも2人分位は自分で作れるかな」
「丸い方がふた含めて色々使えるけれど、四角い方がしまいやすいし使い易いかな」
なんて小さな鍋兼食器を見て一人で頷いていたり。
さらにテントを見て、
「これは稼げるようにならないと買えないね」
なんて言ったり。
僕も興味があるのでついつい色々見てしまった。
良くわからないから興味も無いベジョータさんには申し訳無かったけれど。
その後地下鉄改札近くの地下通路を抜けて巨大なビル群の中に入って。
さらに洋服見たりアクセサリ見たり。
同じような洋服を見せられて、
「どっちがいいと思う?」
なんて言われて困ったりもした。
また他に御スポーツショップがあったり。
食材の店まで丹念に探検した結果。
午前10時過ぎにマンションを出て。
キングズスクエアの桜本町側に着いたのが午後1時。
直接歩くと5分、駅反対側の牛丼屋に寄っても10分の道のりの場所なのにだ。
僕はもう疲れた。
これなら夜中に学校からここ目指して歩いていた時の方がいい。
何せ店の間で待っている時間が長いのだ。
もしくは店から店への移動速度が遅いと言うべきか。
ただ彩香さんが楽しそうだから文句を言う気にもなれない。
亜里砂さんにはちょっと文句を言いたいけれど。
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