第221話 理解して貰いました(強制)

 およそ10分後。

 2人はリビングに戻ってきた。


「そんな訳で着替えて来たのだ。今度はちゃんとブラもしたのだ」

 おいおい。


「そこまで言わなくてもいいから」

 案の定、彩香さんに怒られている。


「でも拘束具は家の中では疲れるのだ。家の中くらいはホック外す程度許して欲しいのだ」


 何か聞いてまずいような言葉が背後で聞こえる。


「悠も聞こえているだろうけれど、そもそも中1程度なら本当にブラ必要な人はそこまで多くないはずなのだ。学校も9割が女子だし学校から外に行くことも滅多にない。私服で気になるとしたら小学生のふりをすればいいのだ」


「小学生のふりという時点でアウトです」


「圧迫感があるし肩が凝るような気もするし蒸れるような気もするのだ」


「でも、特に今みたいな暑い季節は服が透けるし形も外に出るし」


「自分が気にしなければそれでいいのだ」


 良くない!とちょっと心の中で言ってみる。

 あと僕に聞こえる範囲でこの話題は勘弁して欲しい。


「なお悠が気にしているようだけれど、そんなの慣れで解決するのだ。何ならこれから2週間、彩香と2人でトップレス生活すればきっと気にならなくなるのだ。運悪くエロエロになったら彩香と2人で責任を取ってやるまでなのだ」


 やめてくれ。

 いけない想像をしそうだ。

 更に。


「だいたい彩香も悠の事は凄く気に入っているのだ。なら今のうちにエロ仕掛けで落としておくのも手なのだ。幸いここは学校施設外。何なら避妊具の自販機の場所も教えてやれるのだ」


 勘弁してくれ。


「何なら押し倒すのを手伝ってもいいのだ。見動き出来なくするのは私の魔法の十八番、報酬はついでに少し私にも賞味させてくれればそれで……」


 あれ。

 亜里砂さんの台詞が途中で止まった。

 何があったのだろう。


 そーっと後を見てみる。

 亜里砂さんの前が凍っていた。


 比喩とかでは無い。

 テーブルから絨毯、服の前面から前髪まで。

 ダイヤモンドダストのような白い霧も舞っている。

 心なしか気温がかなり寒くなったような。


「それではちょっと朝御飯つくりますね」

 さらっとキッチン方面へと動く彩香さん。


 そして。

「リアル物理系の魔法使いは洒落がきかないのだ」

 亜里砂さんのそんなつぶやきが聞こえた。

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