第192話 昼の部は続きます

 例えば彩香さんがせっせと貯蓄中だった保存食の数々。

 僕のしめ鯖。

 草津先生のアナゴの皮部分。

 佳奈美先輩のアジの一夜干し燻製済み。


 そんな色々な個人貯蔵の品々を犠牲にしつつ。

 全体的には満足という形でピザパーティは終わった。


「またツナとなまりを作って蓄積しようかな」


「私は天気が良くなったらアンチョビ用に小魚を釣りまくる予定です」


「またカツオ類の大漁が無いかなあ」


 僕はやっぱりサバ希望だ。

 そして雨は止み、あっという間に日も出てきて。


「すだては大丈夫かな」


「雨風そこまで強くなかったし、多分だいじょうぶだと思うけれど」


 そんな訳で、取り敢えず見に行く事にした。

 ただ干潮は12時ころだというので、漁はそれまでお預けだけれども。


 網は岸に近い部分の一部の竹が曲がっていたが、それ以外は大丈夫そう。

 なのでお昼御飯までのちょっとの間、野草の採集タイムとなる。

 緑が青々として、なかなかいい感じ。

 なので体育用のジャージの長ズボンをはいて、ちょっと先へ。

 カラムシをガンガンと収穫して、ツルナも新芽部分をガンガン摘んでと。


「こういう雑草っぽいのは心置きなく収穫出来るからいいよな」


「タラの芽とかは来年のことを考えると無理出来ないですからね」

 なんて川俣先輩と草津先生が言いながらガンガン積んで。


 そして早めのお昼は御飯に刺身というこの島では極めてオーソドックスな食事。

 だがピザの後だからか刺身がいつも以上に美味しい気がする。

 ブリ系の子供もやっぱり美味しいし。

 程良く熟成した系の黒鯛とかもなかなかいい感じ。

 こういった白身の魚はやっぱり美味しい。

 でもカツオの漬けとかしめ鯖とか味濃いい系も好きだけれど。


 そして3日目のすだて漁。

 今回は入っている魚がちょっと違った。

 ちょっと荒れていたせいか魚そのものは少ない。

 でも大きい。

 大きいスズキとか黒鯛とかブリ系の何かとかアジとかサバとかヒラメまで。

 何と始めて赤い鯛も入っていた。


「少ないながらに楽しいですね、これは」


 掬いまくって満足したけれど。

 それでも昼は終わらない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る