第180話 明日の挑戦事項

 そんな訳で。

 夕食は刺身各種と漬けとしめ鯖の他。

 南蛮漬けその1の在庫処分。

 スズキのバター焼き。

 そして牡蠣の酒蒸しだ。


「うーん、やっぱり牡蠣美味しい。これは文明を犠牲にしても採るべきね」

 透里先輩がそんな事を言っている。

 なお透里先輩と朋美先輩の御飯にはウニが載っている。

 これは『人命救助代』だそうである。

 美味しそうなので明日辺り狙ってみよう。


「いや、めまいがする寸前はタコを追っていたんだ。見つけたんで銛に持ち替えてターンして潜ったら一気にめまいが来た」

 と文明先輩が言ったところ。


「前に食べたタコも美味しかったですね」

 雅先輩が引き継ぐ。


「そう言えばあの仕掛け、そろそろ見に行かないといけないですね」

 タコでセルビンの事を理奈先輩が思い出して。


「今はタコが入っていても明日にはウツボになるかもしれないですよ」

 佳奈美先輩がそう茶化したところで。

 

「そう言えば刺身以外でのウツボはどうなったんだろう。刺身は歯ごたえもちもちでうま味もあって美味しかったけれど」

 朗人先輩がそんな事を思い出した。


「ごめんなさい。皮はキンキンに焼いて、骨の多い部分は干物にして。今日の夜にお酒と一緒にこっそりつまもうかと準備してあるんです」

 なんて草津先生が白状したりもする。


 そう言えば今日、草津先生の姿をあまり見ていないな。

 聞いてみよう。


「草津先生は今日、海に出てきませんでしたけれど。何をされていたんですか」


 ちなみに小暮先生は銛で魚を突いていた。

 はっきり言って文明先輩以上に上手い。

 推進力も

 野生の勘とかで貝とかも掘っていたし。


「私は今日はちょうどいい流木探しですね。実は燻製を作るためのいい燻材を探して。ただ木の種類がわからないので、どんな味になるかは賭けですね」


 また新しい遊びというか、料理方法が出てきた。


「取り敢えず何を燻製にする予定なのですか」


「まずはカツオをなまり節っぽくしたものですね。冷蔵庫内でいい感じに乾いてきたので、あれをちょっと燻してみて。香りを確かめたら他の干物もやってみようと思います」


「燻製の装置とかはどうするんですか」


「取り敢えずは装備の中に入れておいた段ボールでもいいかなと。あとはアウトドア用のガスコンロと100円スキレットですね。何なら明日、お昼過ぎあたりにのんびりやってみましょうか」


 何かまた新しい味が出来そうだ。

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